海外の臨床試験において、ペメトレキセド投与による発疹発現に対し、副腎皮質ホルモン剤であるデキサメタゾンをペメトレキセド投与前日から3日間投薬することで発疹予防に有効であったと報告されている。これについて、前投薬が確実に投与されていれば、発疹予防に十分な効果が得られるとする見解が示された。静岡県立静岡がんセンター薬剤部の鈴木賢一氏らが、11月3日、4日と広島市で開催された第51回日本肺癌学会総会(JLCS2010)で発表した。

 ペメトレキセドによる発疹の発現率はおよそ7割といわれており、発疹の発現や重症化を軽減するため、副腎皮質ホルモン剤の併用を考慮することが、ペメトレキセドの添付文書に記載されている。また海外の臨床試験では、ペメトレキセド投与前日から投与の翌日までの3日間、デキサメタゾンを投与することで、発疹発現率が低下することが示されている。

 鈴木氏らは、ペメトレキセド単剤を投与した進行非小細胞肺癌患者において、デキサメタゾンの投与状況による発疹発現率を調べた。対象は、2009年5月から2010年2月までに、静岡県立静岡がんセンターでペメトレキセド単剤療法を受けた患者59人。年齢、性別、デキサメタゾンの追加予防内服の有無、発疹の発現率と重篤度などを、電子カルテを用い後ろ向きに調査を行った。なお、脳転移に伴うステロイドあるいは抗アレルギー薬の継続服用患者は除外されている。

 患者59人のうち、ペメトレキセド単剤投与(21日を1コースとして第1日に投与)前にデキサメタゾン6.6mgの前投薬のみが行われた患者は39人(非追加群)で、前投薬に加え2日目以降もデキサメタゾンが追加投与されたのは20人(追加群)だった。

 初回の発疹の発現率は、非追加群が33.3%(39人中13人)だったのに対し、追加群は25.0%(20人中5人)と少なかったが、有意差はなかった(p=0.71)。また、CTCAE ver3.0に基づく発疹の重篤度にも有意な違いはなかった(p=0.25)。

 治療コース別にみると、発疹はほとんどの人が1コース目に発現しており、「デキサメタゾンの非追加群でも3コース以降に初めて発疹が発現する可能性は少ない」と鈴木氏は述べた。

 追加群におけるデキサメタゾンの1日量は0.5mgが1人、2mgが11人、4mgが7人、8mgが1人で、投与期間は2日が6人、3日が9人、4日が5人であり、合計のデキサメタゾン用量は平均で11.3mg(7.8〜25.3mg)だった。

 海外のペメトレキセド無作為化フェーズ3試験では、3日間でデキサメタゾンは合計18.7mgが投与され、発疹発現率は14.0%と報告されている(Hanna JCO 2004)。しかし、「ペメトレキセド単剤療法は外来で施行されることが多いため、3日間の内服投与はコンプライアンス面および発疹予防効果から適切とは言えない可能性がある」と鈴木氏は指摘した。

 これらの検討から鈴木氏は、「ペメトレキセド単剤投与において、制吐療法の各種ガイドラインで推奨されている前投薬デキサメタゾン6.6mgが確実に投与されていれば、発疹予防に十分な効果が得られる」と述べた。