日本人の未治療進行・再発非小細胞肺癌(NSCLC)患者においても、シスプラチン(CDDP)とペメトレキセド(PEM)の併用療法の効果は良好で、EGFR遺伝子変異は本併用療法の効果予測因子である可能性も示された。11月3日、4日と広島市で開催された第51回日本肺癌学会総会(JLCS2010)で、静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科の赤松弘朗氏が発表した。

 海外では、未治療進行・再発NSCLCに対し、CDDPとPEMの併用療法による良好な治療成績が報告されている。血液毒性は低いが、消化器毒性が増強する結果も示されている。しかし、日本人のNSCLC患者を対象とした成績は報告されていない。

 赤松氏らは、日本人の未治療進行・再発NSCLC患者におけるCDDPとPEMの併用療法の安全性と有効性について、レトロスペクテイブに検討した。

 対象は、2009年5月から2010年6月まで、同院で初回化学療法としてCDDP 75mg/m2とPEM 500mg/m2の併用療法を行った進行・再発NSCLC患者35人(うち男性13人、年齢中央値62歳)。腺癌が97.1%を占めた。ステージIIIBが20.0%、IVが74.3%、術後再発が5.7%だった。EGFR遺伝子変異陽性の9人において、del 19の変異は6人(66.7%)、L858Rの変異は3人(33.3%)に認められた。

 患者の80%が4コース以上の治療を受けた。有効性について、完全奏効(CR)はなかったが、部分奏効(PR)は37.1%、安定(SD)は48.6%、進行(PD)は14.3%となった。効果について、EGFR野生型とEGFR遺伝子変異陽性例を比較すると、PRは37.5%と33.3%、SDは45.8%と66.7%で差はみられなかった。

 無増悪生存期間(PFS)の中央値は、全体では5.9カ月、EGFR野生型では4.9カ月、EGFR遺伝子変異陽性例では8.5カ月で有意差がみられた(HR=3.13、p<0.05)。

 グレード3の血液毒性は、好中球減少が14.3%、貧血が8.6%、血小板減少が5.7%、白血球減少が2.9%に発現した。グレード4の血液毒性は、好中球減少が2.9%に発現したが、発熱性好中球減少は発現しなかった。

 非血液毒性の嘔気について、アプレピタントを投与しなかった20人と投与した15人を比較すると、グレード2の嘔気の発現は30.0%と26.7%で同様であったが、グレード3の嘔気は20.0%と6.7%と差がみられ、アプレピタントの導入で軽減した。グレード3の食欲不振は17.1%に、倦怠感は8.6%に発現した。

 今回の結果から赤松氏は「少数例の検討であったが、日本人の肺腺癌に対するCDDPとPEMの併用療法の良好な効果が確認された。 EGFR変異は本併用療法の効果予測因子である可能性が考えられた」と話した。