75歳以上の非扁平上皮肺腺癌患者に対するペメトレキセド(PEM)とシスプラチン(CDDP)の併用療法は、6人の少数例の検討では奏効率50%、病勢コントロール率(DCR)83.3%となり、合併症の少ない患者であれば使用可能なレジメンである可能性が示された。11月3日、4日と広島市で開催された第51回日本肺癌学会総会(JLCS2010)で、県西部浜松医療センター呼吸器科の小笠原隆氏が発表した。

 未治療の非扁平上皮癌に対するPEMとCDDPの併用療法は、CDDPとゲムシタビン(GEM)の併用療法と比べて副作用が軽微であり有効性も示されている。しかし、高齢者に対する評価は定まっていない。

 小笠原氏らは、75歳以上の後期高齢者の非扁平上皮肺癌に対し、CDDPとPEMの併用療法の効果と安全性について、レトロスペクティブに検討した。

 対象は、2009年6月から2010年5月の間に同院でこの併用療法を行ったEGFR変異陽性例を含まない肺腺癌患者6人(うち男性3人、平均年齢79.2歳)。ECOG PSは0、1、2がそれぞれ3、2、1人だった。ステージIVは5人、再発は1人だった。5人がファーストライン治療、1人がサードライン治療であった。

 6人中4人がCDDP 75mg/m2とPEM500mg/mm2の併用療法を4コース完遂した。1人は悪心のため患者の希望で1コース、1人は食思不振とPSの悪化で1コースのみの施行となった。

 有効性については、完全奏効(CR)はなかったが、部分奏効(PR)が3人、安定(SD)が2人、進行(PD)が1人で、奏効率50%、病勢コントロール率(DCR)は83.3%となった。無増悪期間(TTP)の生存期間中央値(MST)は4.4カ月、全生存期間(OS)のMSTは13.6カ月だった。

 血液毒性として、グレード3以上の好中球減少が3人、貧血が2人、血小板減少が2人に発現したが、輸血を必要とした患者はいなかった。白血球減少も3人に発現した。

 非血液毒性として、グレード3の嘔気、食欲不振が各3人に発現し、そのため2人は1コースで治療を終了した。糸球体濾過値の推定値(eGFR)の低下が進む症例において、骨髄抑制の程度が増強する傾向を認めた。腎機能が悪化したのは、高血圧や心房細動、糖尿病を併存していた患者であった。

 小笠原氏は、「CDDPとPEMの併用療法は、合併症の少ない後期高齢者の肺癌患者には十分使用可能なレジメンと考えられる」と話した。ただし、心血管疾患や糖尿病などで腎機能が低下していく患者では重篤な骨髄抑制が出現する可能性があり、投与量の減量など留意する必要がある。また、アプレピタントの併用などの嘔気対策が必要と考えられた。