職業性の石綿曝露の危険性は知られているが、一般市民でも約5%に胸膜変化が見られ、胸膜プラーク陽性例の約3割は石綿曝露の自覚がないことが、一般市民を対象とした大規模な前向き調査で明らかになった。福井大学医学部環境保健学の田村太朗氏らが、11月3日、4日と広島市で開催された第51回日本肺癌学会総会(JLCS2010)で発表した。

 この調査は、厚生労働省がん臨床研究事業JG SARD研究による。石綿関連疾患検査を希望した20歳以上の人に対し、問診、胸部X線、低線量CTを行った。2006年3月から2008年12月までに全国27カ所で、初回調査として9810人(うち男性が5283人)が登録された。

 画像検査の結果、胸部X線では、胸水は0人だったが、胸膜プラークは61人(0.62%)、胸膜肥厚は65人(0.66%)に見られた。低線量CTでは、胸水は8人(0.08%)、胸膜プラークは264人(2.69%)で、このうち石灰化が138人、胸膜肥厚は245人であり、低線量CTの方が胸膜変化の検出に優れていた。

 居住地別にみると、胸膜プラークと胸膜肥厚は中心部の人で6.0%、周辺市町村で3.3%に見られた。職業別では、鉱業、建設業、電気・ガス・水道業、運輸業の順に、胸膜変化の罹患率が高かった。ロジスティック回帰分析の結果、胸膜プラークは、男性、60歳以上、職歴および居住地からの石綿曝露歴、高喫煙歴でリスクが高いことが示された。

 ただし、胸膜プラーク陽性例のうち、問診で石綿曝露歴がないと回答した人が29.2%と多く、「無自覚な石綿曝露が多くいることが示唆された」(田村氏)。

 また対象者のうち肺癌例は29人で、単変量解析の結果、60歳以上、胸膜プラークあり、石綿曝露疑いで、肺癌リスクが高いことが分かった。

 現在、2回目の石綿関連疾患検査を実施中で、今後経過の変化や肺癌の発生を検討するという。