高齢者の局所進行非小細胞肺癌に対するS-1を用いた化学放射線療法は安全で有効と考えられる結果が、フェーズ1試験から得られた。11月12日から13日に東京都で開催された第50回日本肺癌学会総会で、岡山労災病院呼吸器内科の藤本伸一氏が岡山肺癌治療研究会を代表して発表した。

 切除不能の局所進行非小細胞肺癌に対しては化学放射線療法が標準治療と考えられているが、高齢者における有用性は明らかになっていない。

 そこで藤本氏らは、単剤でも効果が高く、かつ毒性が軽度であるS-1による化学療法と同時胸部照射についてのフェーズ1試験を行い、S-1の用量制限毒性(DLT)、最大耐用量(MTD)、フェーズ2試験の推奨用量、抗腫瘍効果を検討した。

 対象は、未治療の局所進行非小細胞肺癌患者22人(うち男性17人、年齢中央値80歳)。PSは0と1が半数ずつで、組織型では扁平上皮癌が半数を占め、病期はIIIAが13人、IIIBが9人だった。

 胸部照射は1日目より開始し、1日1回2Gyを週5回、計60Gyを照射した。S-1は1〜14日目、29〜42日目に1日2回投与した。投与量レベルは、レベル1を60 mg/m2/日、レベル2を70 mg/m2/日、レベル3を80 mg/m2/日、レベル4を90 mg/m2/日と設定した。

 DLTは「4日以上続くグレード4の白血球減少または好中球減少」「38度以上の発熱を伴うグレード3以上の好中球減少」「グレード4の血小板減少」などで規定した。

 投与量レベル1にまず3人を登録し、DLTが1人以下の場合は次の投与量レベルへ移行、DLTが3人の場合はMTDとすることとした。DLTが2人の場合はさらに3人を追加登録し、DLTが3人以下なら次の投与量レベルへ移行、4人以上ならMTDとした。

 投与量レベル1、2、3に割り当てられたのは、3人、7人、12人となった。

 レベル2でグレード4の血小板減少と放射線肺臓炎が各1人、レベル3ではグレード4の白血球減少1人、グレード3の発熱性好中球減少、皮疹、粘膜炎がそれぞれ2人、1人、2人に発現した。これらをDLTとした。

 この試験では、レベル3の進行中にレベル2の症例のグレード4の放射線肺臓炎が報告されたこと、そしてレベル3の投与量がS-1単剤投与の初回治療量として承認されていることから、レベル3の症例検討数を追加し検討を進めることとなった。

 MTDとフェーズ2試験の推奨用量は投与量レベル3の80 mg/m2/日と決定した。

 抗腫瘍効果をみると、完全奏効(CR)は投与量レベル1、2、3でいずれもなく、部分奏効(PR)はそれぞれ1人、3人、9人、安定状態(SD)はそれぞれ2人、4人、3人だった。レベル別の奏効率はそれぞれ33.3%、42.9%、75.0%だった。無増悪生存期間中央値は13.1カ月だった。

 現在、藤本氏らはフェーズ2試験を実施中だ。