進行または再発非小細胞肺癌に対するエルロチニブ治療では、皮膚障害発現時の迅速な対応とエルロチニブの減量により投与継続が可能となり、治療効果の向上につながると考えられる。11月12日から13日に東京都で開催された第50回日本肺癌学会総会で、石川県立中央病院呼吸器外科の常塚宣男氏が発表した。

 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるエルロチニブは、非小細胞肺癌に対する有用性が認められている一方で、有害事象の皮疹が治療の継続を困難にする場合があり、その対策が重要だ。このような背景から常塚氏らは、進行または再発非小細胞肺癌に対してエルロチニブを投与した症例の治療成績とともに投与方法、減量投与について検討した。

 対象としたのは2008年3月から09年10月までにエルロチニブを投与した44人(男性33人、平均年齢69歳)。進行癌は14人、再発癌は30人だった。組織型は腺癌が29人で最も多かった。多発癌は8人、EGFRに変異を認めたのは12人だった。

 エルロチニブの投与がセカンドライン治療であったのは9人、サードライン以降の治療であったのは35人だった。

 抗腫瘍効果をみると、病勢コントロール率(DCR)は88.6%と高かった。内訳は完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)14人、安定状態(SD)24人、進行(PD)5人だった。特にDCRは再発癌で高く、100%で、進行癌では64.3%だった。PDは全例が進行癌であった。EGFR変異例におけるDCRは91.7%となった。

 エルロチニブの投与継続期間は平均7.0カ月で、12カ月以上の長期投与は12人に上った。減量が必要となったのは23人で、最終内服量100mgで継続しているケースが最も多く、16人だった。減量時期は平均35日だった。

 有害事象の発現は、ざ瘡様皮疹や脂漏性皮膚炎などの皮疹が37人(83.1%)と最も多かったが、いずれもグレード2以下であった。その他、グレード2の爪囲炎2人、グレード1の下痢と口内炎が3人ずつだった。

 皮疹により減量が必要となったのは22人、休薬が必要となったのは1人、中止となったのは2人だった。皮疹の発現は投与後1〜47日で、平均は投与後6日だった。

 皮膚障害は患者にとって精神的な負担が大きく、QOLに影響を及ぼし、休薬・減量基準に適応しない場合でも患者が投与中止を希望する場合がある。重症化してから受診する場合も多く、再診時に患者が自分で内服を中止していることもある。

 同科ではエルロチニブ投与開始時にミノサイクリン、ステロイド外用剤、ビタミンB6製剤を処方し、皮疹が発現したと思われたときに患者がすぐにミノサイクリンとステロイド外用剤を使用できるようにしている。その後、ステロイド外用剤は症状に応じて変更も考慮する。

 常塚氏は「エルロチニブ治療では減量例でも抗腫瘍効果は満足な結果が得られており、早期に減量を考慮することで投与を継続でき、生存期間の延長に寄与する可能性がある」と話した。