第50回日本肺癌学会総会が11月12日と13日に東京で開かれる。テーマは「肺癌診療50年の総括と個別化治療への新たな挑戦」。診断・治療の技術は進歩したものの、肺癌による死亡率は一向に減少する気配がない中、「肺癌撲滅に向けて一致団結できる学術大会に」と抱負を掲げる学会長の早川和重氏に、総会の見所をうかがった。


――今回は、50回という節目の総会となりました。
早川 特別企画として「肺癌診療50年の総括と将来展望」と題するシンポジウムを、1日目の午前と午後に分けて開催します。肺癌の基礎研究、病理学、診断、外科、化学療法、放射線といった各領域のエキスパートに、肺癌診療の現状がどのくらいのレベルにまで到達したか、今後どのような方向に進むのかを総括していただきます。

――TNM病期分類の改訂に関連したシンポジウムもあります。
早川 来年からTNM病期分類がさらに細かくなります。細かくなるということは、より個別化治療に向いてきているということです。国際肺癌学会(IASLC)の病期分類委員会で議論がなされ、国際対癌連合(UICC)で認められました。この改訂に関わってきた先生方に、新病期分類について解説していただきます。総会参加者には、新しい病期分類を解説する学会誌の補刷版が当日無料配布される予定です。
 日本肺癌学会は、診療ガイドラインに相当する「臨床・病理:肺癌取り扱い規約」を1978年に刊行し、現在第6版まで版を重ねてきました。そして今回のTNM病期分類の変更を踏まえ、来春には第7版を出せるよう準備を進めています。その前段階として、大きく変わる病期分類について学会員の皆さんに知っていただき、広く意見を求め、第7版に生かしたいと考えています。

――早川先生のご専門領域である放射線治療については、どのようなセッションがありますか。
早川 欧米はもとより、アジアの中でも韓国や中国で放射線治療施設が充実する一方で、日本の放射線治療は最近やや遅れを取り始めている気がします。その原因の一つとして、放射線治療専門医が足りないという現状があります。これからの時代に重要な集学的・個別化の治療を考えていくうえで、放射線治療の充実は欠かせません。各診療科の先生方から、放射線治療に期待することをお話いただくプレジデンシャルシンポジウム「集学的個別化治療に向けて:放射線治療に期待するもの」を開催します。

――外科領域については、いかがでしょう。
早川 ますます複雑化する胸腔鏡下手術(胸視下手術)については、ビデオを用いた発表が増えています。また、術前の化学療法や放射線治療、いわゆるインダクション治療後の手術は、やりにくいケースもあります。どのような症例にインダクション治療を行い、手術ではどのような工夫をしているかといったことを、初日午後の「術前induction治療後の手術手技」と題するビデオワークショップで討論します。

――最近開催の癌関連学術集会同様、分子標的薬の話題も多いですね。
早川 肺癌領域では、イレッサ(ゲフィチニブ)に始まり色々な薬が出てきています。これをいかに使っていけばいいか、一番長い3時間のシンポジウム「分子標的治療の基礎と臨床」で議論します。一般演題も分子標的薬関連のものが多く、レベルの高い演題が集まったということで、1日目の夕方に特別セッション「分子標的治療セレクション」を設けました。ここで優秀6演題を発表していただきます。

――どの癌種でもそうですが、治療がますます個別化へと向かっています。
早川 肺癌の場合、組織型が多彩で、小細胞癌以外を非小細胞肺癌と一括するのではなく、扁平上皮癌なのか、腺癌なのか、あるいは非扁平上皮癌か、非腺癌なのかによって、手術も、化学療法も、放射線療法も、いろんな考え方があります。2日目のパネルディスカッション「非小細胞肺癌の組織型と治療戦略」では、組織型による個別化治療を取り上げます。タッチパネルを用いて、会場の先生方のご意見をリアルタイムに集計し、会場と一緒に議論していきます。
 2日目の午後と翌土曜日に開催するJLCS/IASLCジョイントワークショップでは、今年の7月末から8月初めにサンフランシスコで開かれた第13回世界肺癌学会での議論を踏まえ、局所進行肺癌に対する集学的治療戦略、早期非小細胞肺癌に対する治療選択と術後補助療法を取り上げます。世界的に著名な先生方にも加わっていただき、また、ここでもタッチパネルを用いた症例検討を行います。会場が一体となり、熱心な議論が繰り広げられることを期待しています。