ステージII、III、IVの進行胃癌に対するS-1+シスプラチン併用による術前補助化学療法の有効性を検討した結果、26例中9例で3年無再発生存が得られた。さらにこの9例中7例で、術前補助化学療法後にダウンステージングしていたことが報告された。3月1日まで大阪市で開催された第85回日本胃癌学会総会で、東京大学消化管外科学講座の谷島翔氏が発表した。

 今回、谷島氏らは、同院にて実施してきた術前補助化学療法の治療成績をレトロスペクティブに解析し、S-1+シスプラチン併用療法の有効性について検討した。

 対象は、2006年5月〜2010年11月に術前補助化学療法を施行された26人の胃癌患者。ステージ分類(胃癌取り扱い規約第13版による)は、II期が4例、IIIA期が4例、IIIB期が15例、IV期が3例。術前補助化学療法1コース施行後に臨床効果判定を行った。術前補助化学療法終了から2-4週間後に手術を実施し、その後にS-1による術後補助化学療法を施行した。

 術前補助化学療法の治療レジメンは、2006〜2009年はシスプラチン+S-1を分割投与しており(シスプラチン25mg/m2、S-1 80mg/ m2)、対象はステージIIまたはIIIの胃癌(今回の解析に22例含まれる)としていた。2009年以降は、シスプラチン+S-1をSPIRITS試験レジメンに基づき投与し(シスプラチン60mg/m2、S-1 80mg/ m2)、対象は大型3型・4型胃癌またはBulky N2胃癌(今回の解析に4例含まれる)としている。

 術前補助化学療法後のRECISTによる治療効果判定は、部分寛解(PR)が10例、安定(SD)が13例、病勢進行(PD)が3例。治療効果判定の病理グレードではグレード2以上が7例を占めた。化学療法に伴うグレード3以上の有害事象(下痢)が1例で確認されたが、術前補助化学療法を実施したことによる周術期合併症の増加は見られなかった。

 治療前臨床病期別に3年無再発生存率を見ると、ステージIIが75%、ステージIIIAが50%、ステージIIIBが27%、ステージIVが0%となり、ステージの進行とともに低下した。3年生存率は、それぞれ75%、75%、33%、33%だった。

 このうち、3年無再発生存を達成したのは9例だった。治療前臨床病期を見ると、ステージIIが3例、ステージIIIAが2例、ステージIIIBが4例だった。9例中7例において治療後の病理病期がダウンステージングしており、そのほかの症例もステージが悪化することはなかった。RECISTよる治療効果判定では、PRが6例(66%)で、そのほかSDが3例だった。治療効果判定の病理グレードでは、グレード2以上が55%(5人)を占め、3年無再発生存の得られなかった患者群の24%と比べ、有意に多かった(p=0.06)。

 今回の結果から谷島氏は、「術前補助化学療法を実施した症例を解析した結果、無再発生存が得られた患者の多くは化学療法によって病理病期のダウンステージングが得られていた。奏効率を高める工夫とともに、術前補助化学療法を必要とする症例を選別する必要がある」と語った。また、原発巣、リンパ節、腹膜播種巣それぞれにおいて化学療法に対する反応が異なっている可能性を考慮する必要があると指摘した。