S-1による標準治療を受けた進行胃癌患者を解析した結果、男性は女性に比べて有意に予後が不良だったが、その背景にEGFR強発現例の割合が男女の間で異なることがある可能性が示された。3月1日まで大阪市で開催された第85回日本胃癌学会総会で、北里大学医学部外科の江間玲氏が報告した。

 今回、江間氏は、胃癌標準療法であるD2リンパ節郭清を伴う根治手術とS-1による術後補助化学療法を実施した胃癌患者を対象に、予後予測因子を検討した。

 2000年以降にD2リンパ節郭清を伴う根治的切除術が施行され、S-1による術後補助化学療法を行った患者のうち、術前に組織検体提供に同意の得られた167人について、EGFR、HER2の発現状態をIHC法で確認した。男性は117人、女性は50人。

 解析の結果、HER2発現と予後には有意な相関は認められなかった。一方、EGFR発現については、IHC 0または1+の5年無再発生存率(RFS)が78.1%だったのに対し、IHC 2+では67.3%、IHC 3+では54.1%で、EGFR発現が強くなるに従ってRFSは有意に低下していた(p=0.045)。

 単変量解析の結果、男性、67歳以上、病理学的ステージ、手術法(開腹)、EGFR発現 3+はそれぞれ予後悪化因子だった。さらに多変量解析の結果、5年RFS(無再発生存)率の有意な予後予測因子として、病理学的ステージ、性別が抽出された(それぞれp<0.0001、p=0.033)。病理学的ステージIIに対し、ステージIIIAのハザード比は1.82(95%信頼区間:1.10-3.51)、ステージIIIBは3.06(同:1.18-5.97)。また、男性の5年RFS率のハザード比は1.48(同:1.03-2.27)だった。

 性別に5年RFS率を見ると、女性の5年RFS率は83.6%であるのに対し、男性は58.0%と有意に予後不良だった(p=0.013)。

 また、EGFR陽性(IHC法で3+)の患者の割合は、男性の35.0%、女性の14.0%を占め、男性で有意に割合が高かった(p=0.006)。

 これらの結果から江間氏は、「S-1による術後補助化学療法を受けた標準治療患者において、性別は独立した予後予測因子であり、男性の予後不良を説明する原因の1つとして、EGFR陽性(IHC法で3+)の胃癌患者が多いことが推測される」と指摘した。

 なお、今回の解析で男性患者においてEGFR陽性が多かった理由については不明であるとしたが、EGFRが有力な治療標的である可能性をさらに支持する結果となった。