多施設共同観察研究で日本人のHER2陽性率を検討した結果から、日本人の切除不能な進行・再発胃癌におけるHER2陽性の予測因子として、Lauren分類による腸管型、腹膜転移なし、肝転移ありが見いだされた。また、日本人のHER2陽性率は21.1%だった。2月27日から3月1日まで大阪市で開催されている第85回日本胃癌学会総会で、JFMC44-1101を代表して新潟県立がんセンター新潟病院外科の藪崎裕氏が発表した。

 HER2陽性進行胃癌に対するトラスツズマブの有効性を示したToGA試験において、参加した日本人のHER2陽性率は27%で、参加国平均である22.1%よりも高かった。しかし、以前よりびまん型(diffuse type)に対する腸管型(intestinal type)など、特定の患者背景でHER2陽性率が高い可能性が示されており、ToGA試験における日本人の陽性率にはバイアスがかかっていた可能性がある。そこで同グループは日本人の進行胃癌患者におけるHER2陽性率とともにHER2陽性に関わる因子の同定を行うため、JFMC44-1101研究を行った。

 同研究は目標症例数を1200例とし、2011年9月から2016年8月までの5年間を研究期間、2011年9月から2013年8月までの2年間を登録期間とし、最終症例登録から3年後に転帰調査を行うこととしている。2011年9月から2012年6月までに国内157施設を受診した1495例が登録され、不適格例やFISHが行われなかった症例などを除外した1435例が今回の解析対象となった。

 適格基準は、2011年8月以降に初回診断された切除不能・再発胃癌で、腺癌であり、組織と臨床情報が外部に提供可能、6つの切片が評価可能な症例とした。研究の評価項目はHER2陽性率、HER2陽性と患者背景や試料の状態との関係、全生存期間など。

 HER2の評価はホルマリン固定パラフィン切片を対象に免疫染色とFISHについて中央判定した。

 解析の結果、患者全体でのHER2陽性は1435例中303例で、陽性率は21.1%(95%信頼区間:19.9-23.2)だった。免疫染色(IHC)3+または2+かつFISH陽性例(HER2強陽性例)は15.5%だった。

 また、IHC 0でFISH陽性は3.2%、1+でFISH陽性11.2%、2+でFISH陽性は47.3%、3+でFISH陽性は97.5%だった。IHC 3+でFISH陰性は2.5%だった。

 HER2陽性と各因子について単変量解析を行った結果、HER2陽性と強く相関したのは、性(男性)、組織型(por、sig、mucに対してpap、tub)、Lauren分類(びまん型に対する腸管型)、肝転移(あり)、腹膜転移(なし)、腫瘍深達度(T4に対してT0、1、2、3)、肉眼的分類(0、3、4に対して1、2)、部位(多領域に対する単領域)、手術検体に対するバイオプシーなどだった。このうちでも特に組織型、Lauren分類、肝転移の有無が強く相関していた。

 さらに多変量解析を行った結果、びまん型に対する腸管型(オッズ比0.28)、腹膜転移なし(オッズ比0.56)、肝転移あり(オッズ比1.58)が独立した因子として見いだされた。

 これらの結果から、藪崎氏は、日本人のHER2陽性率は21.1%、強陽性率は15.5%で、陽性率と分布はToGA試験のスクリーニング対象者のHER2陽性率22.1%、強陽性率16.6%と同等だったと指摘した。

 なお、本研究の結果は、1月23日から米サンフランシスコで開催された2013 GASTROINTESTINAL CANCERS SYMPOSIUM(ASCO GI)でも発表された。