腹膜播種がなく洗浄細胞診(Cy)が陰性でも、のちに腹膜播種再発する例は少なくない。腹腔内洗浄液を6つの遺伝子を含むミニチップで診断する方法は、Cy陰性でも再発を予測でき、さらにミニチップの結果と術後のリンパ節転移の有無とを組み合わせることで精度の高い再発診断が可能であることが明らかになった。2月27日から大阪市で開催されている第85回日本胃癌学会総会で、国立がん研究センター中央病院胃外科の深川剛生氏らの研究グループが発表した。

 進行胃癌の術後再発形式のうち、最も多いのが腹膜播種再発(P)である。Cy1症例では腹膜播種再発が高率に発生するが、P0Cy0症例でも腹膜播種再発することがある。そのため腹腔内の微量な癌細胞を検出し、再発を予測する精度の高い方法が求められている。

 研究グループは、胃癌細胞株の網羅的マイクロアレイ解析で、マーカー遺伝子のスクリーニングを行い、進行胃癌患者の腹腔内洗浄液を後ろ向きに検討した。それにより、6つの遺伝子(CEA、TFF1、FABP1、CK20、MUC2、TACSTD1)による診断用ミニチップを作成した。これを用いて、進行胃癌患者の洗浄液で前向き試験を実施した。

 この結果、P0Cy0で根治手術が行われた患者143人中、P0Cy0かつミニチップ陽性は29人で、その予後はP0Cy0かつミニチップ陰性例に比べ顕著に不良で、Cy1症例と同等の予後不良であった。ミニチップ陽性の29人のうち20人(69%)で再発が認められた。また全再発例42人のうち、ミニチップ陽性で再発が予測できたのは20人(47.6%)だった。

 なおミニチップ陽性で再発が予測できた20人のうち10人は腹膜播種再発だったが、ミニチップ陰性だった22人では腹膜播種再発は3人のみであり、「ミニチップでは腹膜播種以外の再発は拾いにくいのではないか」と深川氏は話した。
 
 次に、143人をリンパ節転移の有無で分けると、リンパ節転移陽性でミニチップ陽性の22人では19人(86.4%)に再発が認められ、高危険群とみなされた。一方、リンパ節転移陰性でミニチップ陰性の46人では2人(4.3%)に再発が認められたのみで、低危険群と考えられた。

 Cyは診断精度や施設による違い等の問題が指摘されているが、以上の結果から「ミニチップ診断はCyよりも高感度に再発を予測でき、リンパ節転移と組み合わせることで正確な再発診断が可能」とした。現在、術前化学療法施行症例を対象に、化学療法前後のミニチップ診断により、化学療法の効果判断と予後予測が検討されている。