食道胃接合部癌の腹腔内リンパ節転移割合は組織型に関わらず高いが、郭清効果は腺癌に比べて扁平上皮癌のほうがやや低く、大動脈周囲リンパ節再発割合は腺癌、扁平上皮癌とも10%を超えていたことが、腹腔内リンパ節転移に関する多施設症例調査(HIK-01)で明らかになった。2月27日から大阪市で開催されている第85回日本胃癌学会総会で、愛知県がんセンター中央病院消化器外科の伊藤友一氏らが発表した。

 近年、食道胃接合部癌は増加しているが、術式やリンパ節郭清の範囲などにはまだ一定の結論が出ていない。そこで国内8施設(がん研有明病院、神奈川県立がんセンター、愛知県がんセンター中央病院など)で治療され、食道胃接合部(EGJ)の上下2cm以内に癌腫の中心がある食道胃接合部癌患者606例を調査。今回は腹腔内リンパ節転移の結果が報告された。

 606例のうち男性は487例、女性119例、腺癌が495例、扁平上皮癌が111例だった。腺癌と扁平上皮癌を比べると、腺癌では開腹アプローチが61%だが、扁平上皮癌では右開胸開腹が80%、食道の術式は腺癌では下部食道切除が88%、扁平上皮癌は食道(亜)全摘が77%と多く、胃の術式は腺癌では胃全摘が64%、噴門側胃切除が24%だが、扁平上皮癌は胃局所切除が78%だった。また脾摘をしない例が腺癌では49%、扁平上皮癌は91%を占めた。

 腫瘍径の中央値は腺癌が50mm、扁平上皮癌は42mm、腫瘍中心位置の中央値は、EGJから腺癌では胃側に6mm、扁平上皮癌では食道側に11mm。腫瘍口側端が腺癌では食道側に15mm、扁平上皮癌は食道側に30mm、腫瘍肛側端はそれぞれ胃側に28mm、10mmだった。

 胃領域リンパ節別の転移割合は、腺癌では#1、2、3、7、9、11pへの転移が多く、#1での転移割合は42.1%、#2では31.5%、#3では41.4%、#7では27%、#9では13.7%、#11pでは18.7%であった。またリンパ節転移例の5年生存率はそれぞれ26.6 %、32.2%、31.7%、30.5%、7%、15.5%だった。

 扁平上皮癌でも#1、2、3、7、9への転移が多く、#1での転移割合は35.5%、#2では26.4%、#3では27.1%、#7では23.5%、#9では11.4%、また#11pでは4.8%だった。リンパ節転移例の5年生存率はそれぞれ25 %、10.5%、9.5%、20%、22.2%、0%であった。

 郭清効果インデックス(転移割合×転移陽性例の5年生存率)は、腺癌では、#1が11.2、#2は10.2、#3では13.1、#7では8.2、#9では1.0、#11pは2.9であり、扁平上皮癌ではそれぞれ8.9、2.8、2.6、7.5、2.5、0だった。このため「腹腔内リンパ節転移割合は高いが、郭清効果は腺癌に比べて扁平上皮癌のほうがやや低い」とした。

 また腺癌で、腫瘍肛側端がEGJから4cmを超えると#4saへの転移が多くなり、5cmを超えると#4dへの転移が多くなっていたことから、伊藤氏は「EGJから腫瘍肛側端が4cmまでであれば、#4、#5、#6へのリンパ節転移割合はかなり低く、噴門側胃切除術も選択肢に入る」と述べた。

 大動脈周囲リンパ節郭清は腺癌では29%、扁平上皮癌では12%に行われていた。転移割合は、腺癌が16%、扁平上皮癌が23.1%であり、転移例での5年生存率は腺癌では13.6%、扁平上皮癌は0%となった。再発割合は腺癌では11%、扁平上皮癌は14%といずれも10%を超えていたが、非郭清例での再発割合は腺癌が10.5%、扁平上皮癌が13.3%、郭清例での再発割合はそれぞれ11.1%、15.4%と、郭清の有無で大きな差はなかった。