胃癌治療における腫瘍マーカーとして、AFP、CEA、CA19-9、CA125測定の意義について、1400人を超える患者を対象とした検討が行われ、マーカーの陽性率には各病理因子との関連に特徴があり、腹膜播種ではCA125、肝転移ではAFPが高率である可能性が示された。2月27日から3月1日まで大阪市で開催されている第85回日本胃癌学会総会で、新潟県立がんセンター新潟病院外科の西垣大志氏が発表した。

 同科では、初発胃癌の術前にCEA、CA19-9、CA125、AFPの測定を行っている。西垣氏らは、これらの腫瘍マーカーの術前陽性率と、臨床病理学的因子、手術遺残、再発の有無と予後との関係を検討した。

 対象は、2002年1月から2007年12月までに同科で手術を施行した、初発胃癌患者1430人中、術前に腫瘍マーカーを測定した1405人(男性953人、年齢中央値65歳)。重複癌の患者は除外した。分化型と未分化型はそれぞれ804人と601人、腫瘍径が4cm未満と4cm以上の患者はそれぞれ693人と712人だった。今回の検討には、fStage Iの患者897人、H1の患者16人、P1の患者60人も含まれた。

 西垣氏らは、各腫瘍マーカー値の分散を調べ、腫瘍マーカー間の相関関係の有無を検証し、さらに腫瘍マーカー毎に、臨床病理学的所見、再発、予後との関連性を調査した。

 各腫瘍マーカーの陽性率は、CEA(5mg/L以上)が13.2%、CA19-9(37U/mL以上)が6.0%、CA125(35U/mL以上)が2.9%、AFP(10U/mL以上)が7.4%だった。CEA10mg/L以上を陽性とした場合の陽性率は4.7%だった。

 腫瘍マーカー間の相関をみると、CEAとCA19-9の相関係数(R)は0.487となり、相関関係がみられた(p<0.0001)。CA125、AFPは独立したマーカーであることも示された。

 各腫瘍マーカーの検討では、病理学的因子との関連に特徴がみられた。CEAでは、男性と分化型で陽性率が高く、fStageとpTが進むほど陽性率は上昇した。5年生存率は、陰性82.0%、陽性(5mg/L以上、10mg/L未満)65.4%、陽性(10mg/L以上)42.8%となった。

 CA19-9でも、fStage、pTが進むほど陽性率は上昇したが、fStage Iの陽性率はCEAと比べて低かった。CA125では、未分化型、fStage IV、pT4、P1で陽性率が高かった。AFPでは、fStage II-IVで陽性率が高く、またH1では46.7%となり、他の3種のマーカー(12.5-31.2%)と比べて高かった。

 肝様分化を示す胃癌は、肝細胞に類似した組織像を示し、AFP高値では肝転移を伴うことも多く、予後不良であることが多いとされる。西垣氏らの検討でも、肝再発例の術前AFP陽性率は27.7%で、再発例の術前AFP陽性率の18.8%と比べて高値だった。

 またCA125は、腫瘍が漿膜に達した場合と腹膜播種がある場合に陽性となることが多いとされる。今回の検討でも同様の結果となり、pT1、pT2、pT3、pT4の陽性率はそれぞれ1.1%、3.7%、3.6%、18.3%(p<0.0001)、P0とP1の陽性率はそれぞれ2.0%と25.4%だった(p<0.0001)。分化型と未分化型でP1だった患者の陽性率をみると、それぞれ2.2%と7%だった(p<0.001)。

 西垣氏は「術後再発をきたした症例では術前の腫瘍マーカーの陽性率が高く、術後再発の指標となる可能性が示唆された」と話した。