高度リンパ節転移陽性胃癌に対する術前化学療法が奏効した場合、R0手術後の初回再発形式は腹部大動脈周囲リンパ節が最も多く、D3リンパ節郭清が予後を延長させる可能性がプロスペクティブなフェーズ2試験(OGSG0004)から示唆された。2月8日から10日まで大阪市で開催された第84回日本胃癌学会総会で、関西医科大学外科の井上健太郎氏が発表した。

 井上氏らは多施設共同のOGSG0004試験において、治癒切除が困難と思われる局所進行胃癌に対し、S-1+シスプラチン(CDDP)による術前化学療法施行後に手術を行った患者の再発形式を調査し、化学療法著効例に対する外科的切除の意義を考察した。

 対象は、高度リンパ節転移または他臓器浸潤のため治癒切除が困難と考えられる初発胃癌で、遠隔転移がなく、RECISTの測定可能病変を有する患者。4型胃癌は除外された。

 術前化学療法では、S-1は80mg/m2で1〜21日目、CDDPは60mg/m2で8日目に投与し、奏効の程度に応じて2〜4コース施行した。手術はS-1の最終投与から3〜5週後に予定し、リンパ節郭清はD2またはD2+αとしたが、胃全摘術での脾温存は許容した。術後補助療法は規定しなかった。

 2000〜2007年までに27人(年齢中央値63歳、男性20人)が登録された。T4で治癒切除不能と考えられたのは1人のみ(T4N1M0)で、その他は全例がN2以上の高度リンパ節転移を有していた。
 
 術前化学療法のコース数中央値は3(範囲:1-9)で、17人(63%)に部分奏効(PR)が認められた。手術は18人(66.7%)に行われ、R0手術は13人(48.1%)で行われた。

 R0手術となった13人中、術前化学療法によるPRは12人、安定状態(SD)は1人だった。リンパ節郭清のD3は2人のみに行われ、その他はD2または胃全摘術で脾温存のD1が行われた。総合所見ではN0は3人だった。術後補助療法は7人に行われ、内訳は、S-1+CDDPが1人、S-1が4人、イリノテカン1人、イリノテカン+CDDPが1人だった。

 追跡は全例で3年以上行われ、現在までに13人中10人に再発を認めた。初回再発形式は、10人中5人が腹部大動脈周囲リンパ節で、肝十二指腸間膜内リンパ節、腹膜、肺、脳、骨が各1人だった。腹部大動脈周囲リンパ節再発が最も多く、この5人に行われたリンパ節郭清はD1が3人、D2が2人だった。これに対し、無再発の3人中、2人にD3が行われ、もう1人は総合所見N0の患者でD1だった。

 13人の無再発生存期間(RFS)は中央値で17.4カ月と比較的早期に再発を認めているが、全生存期間(OS)は中央値で50.1カ月となり、再発後の生存期間は長期だった。
 
 井上氏は、「高度リンパ節転移症例で化学療法が奏効した場合、再発後の予後が長く、癌が局所でとどまっている期間が長い可能性がある。このような症例では、D3リンパ節郭清が予後を延長させる可能性が示唆される」と話した。