HER2過剰発現転移進行胃癌患者に対するカペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ(XPTmab)療法は、適切な症例選択と減量により、外来投与が忍容可能と考えられる結果がレトロスペクティブな解析から示された。2月8日から10日まで大阪市で開催された第84回日本胃癌学会総会で、がん研究会有明病院消化器センター化学療法科の陳勁松氏が発表した。

 同院ではXPTmab外来投与が積極的に行われてきた。背景には、3週毎の投与の入院ベッド調整が困難などの日常診療の問題、海外ではシスプラチン(CDDP)も外来投与であること、同院の検討で胃癌のSP(S-1+CDDP)療法は症例選択により外来投与可能であること、新規制吐剤の導入などがある。

 陳氏らは、進行胃癌患者に対し外来投与を積極的に行ったXPTmab療法の問題点を明らかにするため、カルテを調査して検討した。

 XPTmabの投与はToGA試験と同様、21日を1コースとして、カペシタビン2000mg/m2/日を1日目の夕〜15日目の朝、CDDPは80mg/m2を1日目、トラスツズマブは初回8mg/kg、その後6mg/kgを1日目に投与した。初回投与は入院で行い、可能な場合は外来で継続することとした。増悪(PD)または忍容不能な副作用の発現がなければ、制限を設けずに3剤を継続することとした。

 外来投与移行の規準には、クレアチニンクリアランス>60mL/分、経口飲水が1日1500mL以上可能、心機能良好、初回導入時に2日目以降の補液を必要とせず、次回開始時の腎機能に異常値が認められない、主治医と患者の拒否がないことなどが含まれた。

 外来でのXPTmabの点滴レジメンでは、デキサメタゾンと5HT3拮抗剤を投与後、トラスツズマブを30〜90分で投与する。電解質輸液1000mLを2時間で投与した後、フロセミドを投与しCDDPを1時間で投与する。その後、電解質輸液1000mLを2時間で投与する。体重を測定するとともに、経口水分負荷は当日は点滴前後に各1000mL、2、3日目は2000mLとする。

 今回の検討の対象は、2011年3月から11月末までに同院でXPTmabを投与したHER2過剰発現進行胃癌患者13人(男性9人)。観察期間中央値は184日だった。

 HER2発現の状況は、IHC2+かつFISH陽性が3人、IHC3+が10人だった。原発部位は、噴門部が6人、体部前底部が6人、不明1人で、肉眼型分類では4型も1人含まれた。組織型では分化型が8人だった。転移臓器個数は、1個が7人、2個が5人、3個が1人だった。化学療法の治療歴があるのは6人で、S-1補助化学療法が4人、その他が2人だった。

 投与コースの中央値は7(範囲:4-13)、投与期間中央値は133日(同:67-274)だった。XPTmab同時投与は73コースだった。CDDPを中止したXTmabも21コース、トラスツズマブのみも6コース投与された。入院期間の割合は中央値で13%だった。

 XPTmabの外来投与は9人に計43コースが行われ、コース数中央値は5コースだった。43コース中、CDDPを減量したのは36コースだった。CDDP投与期間中央値は91日、外来CDDP投与移行までの期間の中央値は2コース/57日だった。
 
 グレード3以上の毒性は、全期間では、下痢1人(8%)、悪心1人(8%)、食欲低下2人(15%)、好中球減少2人(15%)、貧血2人(15%)などだった。外来投与移行後は好中球減少と貧血が各1人(各11%)に発現した。クレアチニン値の上昇は、全期間では3人に認められたがグレード3以上の上昇はなく、外来投与移行後は全例が正常範囲内で推移した。

 抗腫瘍効果として、部分奏効(PR)が5人に認められた。無増悪生存期間(PFS)中央値は181日で、現在も8人が治療継続中である。