未分化型早期胃癌に対するESD (内視鏡的粘膜下層剥離術)適応拡大に関する多施設共同前向き共同試験(JCOG1009/1010試験)で、患者登録は当初予定された以上に順調に進んでいることが明らかになった。より試験の信頼性を高めるため、登録期間を延長して登録数の増加を検討しているという。2月8日から10日まで大阪市で開催された第84回日本胃癌学会総会で、薫風会佐野病院内科消化器センターの蓮池典明氏らが発表した。

 早期胃癌に対するESDの適応は分化型癌に限られているが、未分化型癌でも2cm以下で潰瘍(UL)がない粘膜癌であればリンパ節転移の頻度は低いため、ESDの適応を拡大できる可能性があるとされている。

 そこで、早期胃癌のうち、潰瘍および潰瘍瘢痕のない2cm以下で、未分化型および分化・未分化混在型癌のうち未分化型優位の粘膜内癌T1a(M)に対し、JCOG1009/1010試験が実施された。JCOGの消化器内視鏡グループと胃がんグループとの共同試験で、2011年2月から登録が開始された。

 対象は、術前診断でcM、UL(-)、腫瘍径2cm以下、単発(再発を除く)N0M0の患者。ESD施行の後、分化型癌および分化型優位癌、未分化型癌および未分化型優位癌に分け、治癒切除判定で、治癒切除もしくは必要に応じて追加外科切除を行う。ESD後の病理組織診断は中央判定を行う。主な解析対象はESD後に未分化型癌および未分化型優位癌と診断された患者。

 主要評価項目はESD後の病理組織診断結果で、未分化型優位だった患者における5年生存割合とした。副次評価項目は全生存期間、ESD後の病理組織診断結果で分化型優位だった患者における5年生存割合、無再発生存期間と無遠隔再発生存期間、5年無再発胃温存生存割合、ESD で治癒切除と判定された患者の5年生存割合、ESDによる病変一括切除割合、ESDによる病理学的治癒切除割合、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合とした。

 期待5年生存割合93.2%、閾値5年生存割合88.2%、全適格例の70%がESD後の病理結果で未分化型と診断されると仮定し、統計的に登録予定数は276例と設定された。登録期間は4年、追跡期間は登録終了後5年とした。

 2月8日までに登録症例数は139例。当初は1カ月あたり5.8例の集積を見込んでいたが、実際は11例と、早いスピードで集積が進んでいる。

 しかし術前に2cm以下と診断されても、実際には2cm以上の場合が少なくないことや、非治癒切除例が多く含まれる可能性が危惧されている。対象者の適格性を維持し、試験の精度を確保するため、登録期間を延長して登録数を増やす方向で検討されているという。