腫瘍径が10cm以上で再発リスクが高いGISTに対し、イマチニブによる術前補助化学療法を検討する日韓共同のフェーズ2試験が開始された。皮疹などの管理が重要になるが、部分奏効が得られる症例もあり、結果が期待される。2月8日から10日まで大阪市で開催された第84回日本胃癌学会総会で、大阪大学消化器外科の黒川幸典氏がこれまでの登録症例のモニタリング結果を発表した。

 イマチニブによるGISTの術後補助化学療法では、3cm以上のGISTに対する1年間投与や再発リスクが高いGISTに対する3年間投与の有用性が報告されているが、局所進行GISTの再発率は依然として高い。
 
 一方、GISTの術前補助化学療法においても、生存期間の延長、R0切除率や臓器温存割合の増加が期待される。しかし、GISTの術前補助化学療法についての臨床試験は、フェーズ2試験の3件(うち1件は今回の試験)が行われているのみである。

 黒川氏らは、局所進行GIST患者を対象として、イマチニブの術前補助化学療法の有効性と安全性を検討する日韓共同のフェーズ2試験を開始した。

 同試験では、登録後2週以内に術前補助化学療法として、イマチニブ400mg/日を6カ月(9カ月まで可)経口投与し手術を行う。ただし、投与中に進行(PD)となり早期に手術を要する可能性を考慮し、効果判定は1、3、6カ月の時点でRECISTとChoi基準を用いて行う。術後は経口摂取開始後7日以内に術前と同量のイマチニブを再開し、1年間投与する。術前の投与期間を6カ月としたのは、GISTは他の癌と異なり、奏効が得られるまでの期間が長いためである。

 対象は、病理組織学的にGISTと診断された10cm以上の胃原発GISTで、遠隔転移や腹膜播種がなく、前治療歴がない、経口摂取可能な20〜80歳の患者とした。

 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、組織学的奏効率、R0切除割合、有害事象の発生割合、イマチニブ血中濃度など。登録に3年、追跡に2年、登録例数40人(日韓で20人ずつ)が予定されている。

 今回、黒川氏はこれまでの登録症例のモニタリング結果を報告した。2012年2月5日までに日本では13人(年齢中央値69歳、男性7人)が登録された。症例報告書(CRF)が提出された12人の腫瘍径の平均値は128mmで、100〜119mmが7人と多かったが、140mm以上も4人含まれた。
 
 13人の術前補助化学療法の状況は、イマチニブ治療中2人、イマチニブ完了9人、イマチニブ中止2人だった。中止理由は有害事象で、1人はグレード3の皮疹による担当医の判断だった。現在までにPDによる中止はない。術後補助化学療法の状況は、イマチニブ治療中3人、イマチニブ完了1人、イマチニブ中止1人(患者の希望)だった。
 
 有害事象はこれまでのイマチニブのデータとほぼ同様で、CRFが提出された12人において、全グレードでは悪心、頭頸部や四肢の浮腫、皮疹などが多くみられた。グレード3の有害事象は皮疹で、1人に発現した。
 
 黒川氏は1例について報告した。イマチニブを開始後、早期にグレード2の下痢が発現したため300mgに減量し、改善した。次にグレード2の皮疹が発現し、抗ヒスタミン剤やプレドニゾロンを併用しながら200mgに減量し、その後一時中止とした。200mgで再開後、手術となった。腫瘍径は155mmから投与後は108mmに縮小し、部分奏効(PR)が得られた。胃局所切除が行われ、胃癌取扱い規約に準じた組織学的効果判定ではGrade1bとなった。

 また同試験の特徴に、イマチニブ血中濃度の測定がある。過去の論文で同値が1110ng/mLを境に奏効が変化するとの報告があり、これを前向きに検証するためだ。測定は、術前と術後の補助化学療法施行中に各3回行う。

 現時点で同試験には全国から47施設が参加している。現在も参加施設を募集中で、詳細はGIST研究会のホームページで紹介されている。