日本胃癌学会の胃癌治療ガイドライン研究部会と研究推進委員会は、高齢者や併存疾患を有する患者の手術適応規準を決めるため、手術死亡や合併症の高リスク群を同定する後ろ向き調査研究を今後2-3カ月で開始することを明らかにした。また切除不能進行・再発胃癌により経口摂取が不可能になった症例を対象とした前向きコホート研究も実施される。2月8日から大阪市で開催されている第84回日本胃癌学会総会で、神奈川県立がんセンター消化器外科の円谷彰氏が発表し、研究への協力を呼びかけた。

 円谷氏は、研究背景として、高齢者の胃癌死亡数は増加しているが、手術適応には客観的な指標が確立していないこと、周術期の合併症規準が標準化されていないことなどを挙げた。また米NCCNガイドラインでも、治療アルゴリズムの最初に、「Medically fit」「Medically unfit」の項目があるが、明確な定義はできていないとした。

 そこで、「胃癌手術死亡および合併症の高リスク群同定に関する後ろ向き調査研究」と「切除不能進行・再発胃癌により経口摂取が不可能になった症例に対するsurgical interventionの意義と適応に関するQOL scoreを使用した前向きコホート研究」を開始することになった。

 後ろ向き調査研究は、国内の多施設による大規模データに基づいたリスク評価によって、高齢者や併存疾患を有する患者に対する妥当な手術適応基準(緩和的手術を除く)を作製することを目的としている。リスク指標の主要評価項目は、術後30日以降も含めた院内死亡率、副次評価項目は、術後合併症規準であるClavien-Dindo 分類のグレード3以上の合併症率と設定された。

 調査は、2009年から2010年の胃癌手術件数が年間30件以上の施設のうち、がん専門病院や大学病院、一般病院で、DPC包括評価参加施設を対象に実施される。PSや併存疾患、脆弱性や栄養障害に関する術前データ、腫瘍因子と手術に関するデータ、Clavien-Dindo 分類による合併症のデータを収集し、リスク因子の抽出や年齢別による解析などを行う。

 目標症例数は3600例。およそ1年間かけてデータを収集する予定。調査結果は「ガイドライン作製や胃癌登録などに適用する」とした。

 一方、前向きコホート研究は、切除不能進行・再発胃癌により経口摂取が不可能になった症例で、外科手術に耐えられると判断される患者が対象。主要評価項目はQOL 、副次評価項目は経口摂取改善状況、合併症と死亡、全生存期間と設定された。目標症例数は100例としている。