2010年4月より、進行胃癌に対するFDG-PET検査(以下、PET)が保険適用となったことを受け、日本胃癌学会研究推進委員会ワーキンググループは、胃癌診療におけるPETの有用性に関するコンセンサスをまとめた。PETはその特異度の高さから、進行胃癌の診療において、特に遠隔転移と再発の診断に有用と考えられる。2月8日から10日まで大阪市で開催されている第84回日本胃癌学会総会で、東邦大学外科学講座一般・消化器外科の島田英昭氏が同グループを代表して報告した。

 「FDG PET、PET/CT診療ガイドライン2010」では、保険適用の要件が「他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用する」に統一され、PETとPET/CTの適用要件が同一となった。

 そこで島田氏らは、胃癌診療におけるPETの適正利用基準を明確にするため、PubMed収載論文を評価し、現時点での研究成果の概要をまとめることとした。
 
 対象論文は、解像度を考慮し、2000年以降のPubMed収載論文から「gastric cancer」「PET」をキーワードとして検索された英文論文計100編。査読を行い、「病期診断」「再発診断」「治療効果判定」「胃癌検診」の課題について、各論文のデータを評価した。選択基準は、陽性率を示す具体的な症例数と評価方法が記載されていること、対象症例数30例以上、食道・胃接合部癌を対象としている場合は過半数が腺癌であることだった。最終的に52論文(日本17編、韓国14編、欧米他21篇)が採用された。
 
 その結果、得られた主なコンセンサスは次のようになった。
 
 PETによる胃癌診断の留意点は、腫瘍近傍に炎症所見がないこと、適度な胃壁の拡張、腫瘍サイズがPETの解像度に適合、充実性腫瘍であること――である。U領域では集積度が高いが、コップ1杯程度の飲水で適度な胃壁の拡張が得られ、偽陽性率を低下できることが韓国と日本の論文で報告されている。

 早期胃癌の診断や検診での使用は、胃炎に対する生理的集積、UML各領域の胃壁進展の差異による集積度の差、組織型による集積度の差などから、有用ではないと考えられる。
 
 進行胃癌では、壁在リンパ節を除くリンパ節転移、遠隔転移、腹膜播種における特異度が高く、有用性が高い。検討した論文のPETの感受性は21〜40%と低かったが、特異度は89〜100%と高かった。negative predictive value(NPV)は低いが、positive predictive value(PPV)は高いことも示された。
 
 しかし、深達度診断では、進行癌であっても原発巣の検出感度が低く、組織型別の集積度が異なるため、有用ではない。
 
 遠隔転移、腹膜播種、再発の診断については、CTと比較して感受性は低いが、特異度は高く、PPVが高いため有用と考えられる。島田氏は、「初診時には遠隔転移の有無で治療様式が変わる。stage upの可能性を考えると、見逃しを減らす点で有用な可能性がある」と説明した。
 
 治療効果判定では、治療開始後2週で35%以上の集積低下を奏効例として、治療方針の決定に有用と考えられる。
 
 またGISTでは、遠隔転移の診断と治療効果の判定に有用と考えられるが、現在作業が進められている。

 島田氏は今後の課題として、「造影CT検査との併用のメリットや実際の患者の予後への貢献などについて、前向き研究を行うことが望ましい」とした。