進行胃癌の2次治療にイリノテカンを使用した患者では、3次治療への移行率が高く、生存期間の延長につながっていることが、2次治療にタキサン系抗癌剤を使った患者と比較したレトロスペクティブ解析で確認された。癌研究会有明病院化学療法科の大場大氏らが、3月3日から5日に青森県三沢市で開催された第83回日本胃癌学会総会で発表した。

 進行胃癌に対し、キードラッグであるフッ化ピリミジン系抗癌剤とシスプラチン、イリノテカン、タキサン系抗癌剤の4種類の薬剤をすべて使うことが生存延長に重要であるという考え方がある。「4剤を使いきるには、2次治療でイリノテカンを使える患者には使ったほうが生存に有益なのではないか」というのが大場氏の考えだ。

 解析の対象は、再発もしくは手術不能の胃癌で、フッ化ピリミジン系抗癌剤による前治療歴のある患者179人。イリノテカンは4週おきに150mg/m2を第1日と15日に投与した(イリノテカン群、92人)。パクリタキセルも4週おきに80mg/m2を週に1回、第1日と8日、15日に投与した(パクリタキセル群、87人)。

 大場氏らの施設では、2次治療にイリノテカンを使用することが多いが、腹膜転移がある、あるいは肝機能が低下している患者ではタキサン系抗癌剤が使用されている。実際に、対象となった患者でも、イリノテカン群はECOG PS 0-1の患者が大半を占め、PS 2はイリノテカン群が1.1%であるのに対し、パクリタキセル群は16.1%だった。組織型はintestinalタイプがイリノテカン群では40.2%、パクリタキセル群は14.9%、diffuseタイプがそれぞれ59.8%、85.1%だった。

 また大量腹水が見られた患者はイリノテカン群は0%だが、パクリタキセル群は37.9%と大きな違いがあった。腹膜転移の患者もイリノテカン群は39.1%だったが、パクリタキセル群は85.1%を占めた。

 3次治療に移行した患者の割合は、イリノテカン群が78.2%であるのに対し、パクリタキセル群は17.2%と少なかった。イリノテカン群で3次治療に使われた薬剤は、パクリタキセル週1回投与が多く(57.6%)、続いてドセタキセル3週に1回投与(15.2%)だった。

 イリノテカン群の奏効率は6.5%、病勢コントロール率は43.5%、パクリタキセル群はそれぞれ9.8%、54.9%だった。無増悪生存期間はそれぞれ2.6カ月と2.8カ月で有意差がなかったが(p=0.812)、全生存期間中央値は9.8カ月と4.9カ月で有意な差が見られた(p<0.0001)。

 主なグレード3/4の有害事象は好中球減少、白血球減少、貧血、食欲不振で、両群とも忍容性が認められた。

 これらの結果から、「2次治療におけるイリノテカンの使用は、フッ化ピリミジン系抗癌剤が不応となった進行胃癌患者において有用であることが明らかになった」と述べた。「パクリタキセルは、いわゆる状態の悪い患者にも使うことができる良い薬だが、2次治療でイリノテカンが使える患者にパクリタキセルを使った場合、どれだけの人が3次治療に移行できるかはわからない」と話した。