透析患者の胃切除手術についての検討で、術後合併症は53.3%、縫合不全は13.3%と高率に発生し、手術適応を慎重に決定する必要があることが示された。3月3日から5日にかけて青森県三沢市で開催された第83回日本胃癌学会総会で、大阪府立急性期総合医療センター外科の木村賢二氏が発表した。

 腎機能障害患者や血液維持透析患者の増加に伴い、このような患者が手術を受ける機会も増加している。透析患者では、出血や、創傷治癒の遷延により縫合不全などの術後合併症が起こりやすいことが報告されている。

 木村氏らは、同センターにおける透析患者の胃癌切除症例の術前状態や術後合併症について現状を明らかにするため、患者の背景、血液検査結果、手術内容、在院日数を検討した。術後合併症の検討では、術創部感染は除外した。

 対象は、2005年1月〜2010年12月31日までに胃癌で胃切除術を施行した血液維持透析患者15人。このうち男性は10人で、年齢中央値は69歳(56〜83歳)だった。

 透析歴は1〜270カ月で、透析導入の理由は糖尿病9人、高血圧4人、その他2人だった。進行度ではIAが7人、IBが4人で大半を占めた。1人はIVであったが、出血コントロールを目的として手術が行われた。幽門側胃切除術が10人、胃全摘術が5人に行われた。

 全身状態に影響を及ぼす術後合併症は、8人(53.3%)に発生した。このうち1人は死亡、7人は軽快退院した。消化管手術特有の合併症として、縫合不全が2人、消化管出血が1人に発生した。中心静脈カテーテル(CVC)感染を含む術後の感染は2人に発生した。原疾患の増悪や透析管理時の合併症は3人に発生した。

 術後合併症が発生した群(8人)と発生しなかった群(7人)で各因子の中央値を比較すると、透析歴は52.5カ月対12.0カ月、術前クレアチニン値は8.245mg/dL対6.510mg/dL、術前総蛋白値は6.5g/dL対6.8g/dL、手術時間は125分対100分、在院日数は46.5日対32日だった。統計学的な有意差を認める因子はなかった。選択した術式や出血量についても有意差は認めなかった。

 在院日数については、両群とも、同センターのクリニカルパスで設定している予定在院日数の13日を明らかに延長していた。術後合併症が発生した群では、縫合不全が13.3%(2人)と高率に発生していることも、術後在院日数に大きく影響していると考えられた。