切除不能・再発胃癌を対象としたパクリタキセルドキシフルリジン(5’-DFUR)の併用療法は有効な治療法であり、70歳以上の患者においても非血液毒性が少なく、忍容性が高いことがフェーズ2試験の結果から示された。ただし、70歳以上の患者では70歳未満の患者と比べて好中球減少の発現が高率で、注意が必要なこともわかった。3月3日から5日にかけて青森県三沢市で開催された第83回日本胃癌学会総会で、山口大学大学院医学系研究科消化器・腫瘍外科学の吉野茂文氏が発表した。

 吉野氏らは、切除不能・再発胃癌に対するパクリタキセルと5’-DFURの併用療法の有効性と安全性を検討するフェーズ2試験を実施した。登録された患者の半数が70歳以上であったため、70歳未満の患者との成績の比較検討も行った。

 主要評価項目はRECIST評価による奏効率(RR)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、治療成功期間(TTF)、有害事象発生割合とした。

 同試験の開始は、S-1の5-FUに対する非劣性が示されたJCOG9912試験の結果発表前であったため、対象には一次治療の患者が含まれている。切除不能・再発胃癌で前治療が1レジメン以内の患者42人が登録され、70歳未満、70歳以上ともに各21人となった。

 70歳未満と70歳以上の患者で、男女比、PS、組織型に差はなかった。前治療の化学療法を受けていたのは70歳未満9人、70歳以上4人で、全例がS-1の投与を受けていた。

 パクリタキセルは70mg/m2を週1回、3週投与・1週休薬の4週を1サイクルとして、可能な限り繰り返すこととした。5’-DFURは600mg/日/bodyで連日投与した。

 外来で安全に施行するための投与基準として、血液毒性(ヘモグロビンを除く)と非血液毒性(脱毛を除く)ともGrade2で投与延期、Grade3で延期かつ次回のパクリタキセルを減量することとした。パクリタキセルは、1段階減量では60mg/m2に、2段階減量では50mg/m2にすることとした。

 全体では完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)16人で、RRは40.5%だった。一次治療としてのRRは50.0%、二次治療としては23.1%だった。OSは371日、PFSは170日、TTFは147日となった(いずれも中央値)。これらの結果から、パクリタキセルと5’-DFURの併用療法は有効な治療法であることが示された。

 年齢別にみると、70歳未満ではCRは0、PRは8人で、RRは38.1%だった。70歳以上ではCRは1人、PRは8人で、RRは42.9%となった。

 OSの中央値は、70歳未満で343日、70歳以上で371日となった。PFSの中央値はそれぞれ170日と197日、TTFは145日と182日となった。70歳以上の患者の成績はいずれも70歳未満と同等以上に良好だった。

 Grade3以上の非血液毒性として、食欲不振、倦怠感、末梢神経障害などの発現は、70歳以上の患者でも10%以下と少なく、忍容性は高いと考えられた。ただし、血液毒性の発現は70歳以上で高く、Grade3以上の好中球減少は70歳未満の9.5%に対し、70歳以上では42.9%となり、慎重な観察が必要と考えられた。