腹腔洗浄液診断陽性(CY1)胃癌に対して、ドセタキセルを用いた術前腹腔内化学療法S-1による全身化学療法の併用は、有効で安全性も高い可能性が明らかになった。大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学の藤原義之氏らが、3月3日から5日に青森県三沢市で開催された第83回日本胃癌学会総会で発表した。

 藤原氏らは、2000年からCY1例に対して、2コースの術前腹腔内投与と全身投与の併用療法を行ってきた。2000年から2006年はシスプラチンとMMCによる腹腔内投与、およびドセタキセルと5-FU、シスプラチンによる全身投与を行った。

 その結果、25人における全生存期間中央値が16.7カ月、1年生存率は67%、2年生存率は36%であった。25人のうち、14人でCY0P0が認められた(56%)。

 全生存期間中央値はCY0P0となった患者が25.8カ月であるのに対し、CY1もしくはP1となった患者では9.6カ月と有意な差が認められ(p<0.0001)、藤原氏は「術前腹腔内化学療法と全身化学療法の併用で、CY0P0となった患者の予後は、そうでない患者に比べて良好である」とした。

 しかしグレード3の白血球減少が17人に、グレード4の白血球減少が3人、グレード3の好中球減少が14人、グレード4の好中球減少が6人に認められた。

 そこで、2006年以降は、ドセタキセルの腹腔内投与とS-1の全身投与による併用療法を行った。18人における全生存期間中央値は24.6カ月、1年生存率は76%、2年生存率は54%だった。測定可能病変があった8人中5人で部分奏効が見られ、奏効率は62.5%だった。また14人にCY0P0が認められた(78%)。

 グレード3の有害事象は食欲不振が1人、発熱が1人、白血球減少が1人、好中球減少が1人で、グレード4の有害事象はなかった。このため「ドセタキセル腹腔内投与とS-1の併用療法は、安全性と有効性に優れている可能性がある」と述べた。