術後補助療法としてS-1を投与した群でも、手術単独群でも、再発後にS-1を含む化学療法を行ったほうが生存期間は良好となることが、ACTS-GC試験のデータ解析で明らかになった。愛知県がんセンター中央病院消化器外科の伊藤誠二氏らが、3月3日から5日に青森県三沢市で開催された第83回日本胃癌学会総会で発表した。

 ACTS-GC試験は、ステージ2、3の胃癌手術例を対象に行われ、D2リンパ節郭清手術単独群の5年生存率が61.1%であるのに対し、術後1年間S-1投与群は71.7%、無再発生存率は手術単独群が53.1%であるのに対し、S-1投与群は65.4%と、S-1の有用性が確認されている。しかし術後補助療法後の転移、再発に対する治療は明らかでない。

 そこで伊藤氏らは、ACTS-GC試験に登録した患者のうち、5年フォローアップ中に転移・再発した患者について生存期間を解析した。対象は手術単独群が215人、術後補助療法群が160人だった。

 この結果、再発後の生存期間中央値は手術単独群が11.3カ月(95%信頼区間 9.7-13.1)、S-1投与群が11.4カ月(同 8.4-13.9)とほぼ同じで、ハザード比は1.05、log-rank検定でp値は0.685だった。

 再発後に、化学療法による後治療を受けたのは、手術単独群が171人、S-1投与群が121人で、このうちS-1を含む治療が行われたのは、手術単独群で77.2%、S-1投与群で47.1%を占めた。

 後治療でS-1を含む群と含まない群の生存期間を比較した結果、手術単独群におけるS-1を含む群(132人)の生存期間中央値は13.8カ月、S-1を含まない群(39人)は6.9カ月、ハザード比は0.54、log-rank検定でp値は0.001と有意な違いが認められた。S-1投与群では、S-1を含む群(57人)の生存期間中央値は14.9カ月、S-1を含まない群(64人)は8.2カ月、ハザード比は0.61、log-rank検定でp値は0.013で、これも有意差が認められた。

 またS-1群のうち、術後S-1投与終了から再発までの期間が6カ月未満の患者と6カ月以上の患者にわけたところ、6カ月未満でも、6カ月以上でも、後治療にS-1を含む群のほうが含まない群よりも、生存期間中央値は長い傾向が見られた。

 以上の結果から、S-1投与は「再発後の生存期間に影響を与えず、全生存期間を延長する」と述べた。ただし、患者のPSや経口摂取の可・不可など、背景因子が不明な部分もあり、この結果だけから、すべての患者にS-1投与が良いというわけではない」と伊藤氏は話した。