高度の腹水を伴う腹膜転移胃癌の治療レジメンとして、DS(S-1+ドセタキセル)療法が有用である可能性が示された。3月3日から5日に新潟市で開催された第82回日本胃癌学会総会で、神奈川県立がんセンター消化器内科の中山昇典氏が発表した。

 腹膜転移を伴う胃癌は腸管の狭窄や腹水貯留、水腎症を合併するなど予後不良である。高度腹水を有し、化学療法を行っても毒性が重篤化することがあるため、臨床試験からも除外され、確立した治療法がないのが現状だ。そこで中山氏らは、腹膜転移胃癌に対するDS療法の有用性を調べた。

 腹水は、骨盤腔や上腹部のみに留まる軽度と骨盤腔を越えて上腹部方向へ存在する高度に分けられる。中山氏らは、高度腹水と軽度の亜腸管閉塞を伴う胃癌について検討した。

 対象となったのは、組織学的に腺癌と診断された切除不能または再発胃癌で、PS(ECOG)は0-3、経口摂取ができる20〜80歳までの患者で、年齢の中央値は59歳。総投与回数は72コースで、中央値は5コースだった。

 2007年から2009年まで、同院でDS療法を行った患者13人について、有害事象や投与サイクル、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)、全奏効率(RR)などについてレトロスペクティブに検討された。

 DS療法は、21日を1コースとし、ドセタキセル40mg/m2を1日目に投与しS-1 80mg/m2を1日目から14日目まで投与した。
 
 グレード3以上の有害事象は、白血球減少が38.5%、好中球減少が30.7%、貧血が30.7%だった。

 PFSの中央値は114日(95%信頼区間;52.94-175.06)、OSの中央値は233日(95%信頼区間;168-297)で、RRは50%、腹水への効果は69.2%と高い有効性が示された。ただ、今回の検討では、症例数が少ないため、さらなる検討の必要性も示唆された。