進行胃癌に対するドセタキセルとシスプラチン、S-1による3剤併用(DCS療法)は奏効率が高いものの、血液毒性が強いことが問題となっている。しかし、副作用を抑えるために投与法を工夫した分割DCS療法を用いた術前補助療法は、忍容性に優れ、リンパ節転移に対しても高い奏効性が見られることが明らかとなった。3月3日から5日まで新潟市で開催されている第82回日本胃癌学会総会で、新潟県立がんセンター新潟病院外科の石川卓氏らが発表した。

 対象はT3/T4もしくは 4期胃癌23人(うち男性17人)、年齢中央値は67歳、全員がPS 0。進行度は2期が2人、3期が7人、4期が14人。4期では肝転移は6人、腹膜播種が4人、腹腔内細胞診陽性が9人、遠隔転移が2人だった(重複を含む)。

 分割DCS療法は4週を1コースとして、ドセタキセル(35mg/m2)を第1日と第15日に、シスプラチン(35mg/m2)を第1日と第15日に静注し、S-1(80mg/m2)を第1日から第14日まで投与した。治療は3泊4日の入院中に行われ、2コース終了後に手術を検討した。

 その結果、血液学的毒性はグレード3/4の好中球減少が15人(65.2%)、グレード3の貧血が4人(17.3%)で、14人にG-CSF製剤を使用した。グレード3以上の非血液学的毒性は食欲不振の1人のみで、主なグレード2は悪心・嘔吐が2人、皮疹が2人だった。ドセタキセルあるいはシスプラチンの減量は3人に行われた。

 抗腫瘍効果は、原発巣では部分奏効(PR)が20人、安定状態(SD)が3人で、奏効率は87.0%、病勢制御率は100%だった。肝転移(6人)の奏効率は66.7%、リンパ節転移(16人)の奏効率は75.0%で、病勢制御率はいずれも100%だった。

 手術は17人(73.9%)に施行され、このうち胃全摘が9人、幽門側胃切除が8人だった。また組織学的効果は、原発巣では17人中、グレード2が9人、リンパ節ではグレード2が5人、グレード3が3人に認められた。進行度が改善したdown stagingは7人(41.2%)であった。

 以上の結果から石川氏は、「分割DCS療法は、PSを保ちながら高い抗腫瘍効果が期待でき、術前化学療法に適した治療法である」とした。忍容性も認められ、外来でも可能ではあるが、「骨髄抑制を来たすことがあるので、現在は入院管理で、慎重な観察下で施行している」と述べた。