早期胃癌内視鏡的治療後には二次癌予防のため、H.pylori除菌を行うべきこと、また、内視鏡的粘膜切除法EMR)後の非除菌例では、胃体部の腸上皮化生がある場合に異所再発のリスクが高いことが示された。Japan Gast Study GroupJGSG)の研究成果で、3月4〜6日に東京で開催された第81回日本胃癌学会総会のシンポジウムにおいて、北海道大学病院光学医療診療部の加藤元嗣氏が報告した。

 H.pylori除菌による胃癌の予防効果について、非無作為化試験では、除菌が胃癌の発生を抑制するという結果が示されているが、無作為化試験では有効性が示されていない。そのためJGSGは、胃癌リスクが最も高い早期胃癌の内視鏡治療後患者を対象として、H.pylori除菌による二次癌(異時性多発癌)予防について検討した。

 試験は多施設オープンラベル無作為化対照試験とした。オープンラベルとしたのは、盲検にしても内視鏡医は除菌の有無が推定できるためと、プラセボ使用に対する患者の抵抗感を考慮したためである。一次癌の内視鏡切除後、無作為化して除菌群と対照群に割り付け、3年間、経過観察を行った。主要評価項目は二次癌の発生、副次的評価項目は遺残再発とした。無作為化後、6カ月後、1年後、2年後、3年後に内視鏡検査を行い、追跡した。

 544人の患者をH.pyroli除菌群272人、対照群272人に割り付け、最終的な解析対象はそれぞれ255人と250人となった。両群間の背景に差は認めず、年齢は除菌群68歳、対照群は69歳であった。一次癌の部位、組織型、深達度、大きさにも両群間に差はなかった。

 二次癌の発生は、除菌群9人、対照群24人の患者に認められた。二群間のオッズ比は0.353(p=0.009)、経過観察を考慮したハザード比は0.339(p=0.003)で、除菌群で有意に二次癌の発生が抑制された。遺残再発については、除菌群8人、対照群10人で、有意差はなかった。

 二次癌の背景をみると、性別、年齢、部位、組織型、深達度などについて両群間に差は認めず、一次癌が分化型であると二次癌もほとんどが分化型として発生していた。

 除菌が成功したのは272人中205人(75%)。除菌群で二次癌が発生した9人中、除菌失敗群(50人)からの発生は2人、除菌成功群からは7人であった。対照群で二次癌が発生した24人はすべて感染持続群(238人)で、自然陰性群(12人)からの発生はみられなかった。

 二次癌が発生した除菌成功群と感染持続群についてのサブ解析では、腸上皮化生や委縮が強い患者が多いという背景が明らかになった。二次癌発生のハザード比は0.312(p=0.007)で、除菌成功群で有意に発生が抑制されていた。遺残再発は除菌成功群5人、感染持続群9人で有意差はなく、遺残再発までの時間にも差はみられなかった。持続感染群の再発因子の検討では、胃体部の腸上皮化生がある場合に有意に高い結果となった。