術前化学療法NAC)を施行した進行胃癌切除例において、約5%に、原発巣で組織学的効果判定基準でGrade3(著効)の効果が認められたことが明らかになった。3月4〜6日に東京都で開催された第81回日本胃癌学会総会のポスターセッションで、藤田保健衛生大学医学部上部消化管外科の米村穣氏が発表した。

 対象は、2002年から2008年1月にS-1+シスプラチンによるNACを施行後、胃癌切除術を行った進行胃癌患者102人。

 NACとして、 S-1は80mg/m2を4週投与、2週休薬とし、シスプラチンは35mg/m2(2005年から60mg/m2)を8日目に点滴静注した。1から3クール(通常2クール)を施行した。

 NACの組織学的効果は、Grade3、2、1b、1a、0はそれぞれ5人(4.9%)、16人(15.7%)、19人(18.6%)、49人(48.0%)、13人(12.7%)で、組織学的効果を示したResponder症例は40人(39.3%)であった。

 原発巣でGrade3を示した5人(男性4人、女性1人、年齢53〜74歳)については、NAC施行前の臨床病期は3aが1人、3bが2人、4が2人であった。組織型をみると、中分化型管状腺癌(tub2)2人、低分化腺癌〜中分化型管状腺癌(por〜tub2)1人、充実型低分化腺癌(por1)1人、非充実型低分化腺癌(por2)1人であった。

 Grade3の5人の患者の内視鏡およびCTの所見では、NAC施行後はNAC施行前より71〜88%の腫瘍退縮を示した。NAC施行後の臨床病期の変化をみると、3aの1人は0に、3bの2人はいずれも1bに、4の1人は1bとなったが、肝転移がある1人は不変であった。

 いずれの症例も、D2以上のリンパ節郭清を伴う根治手術を施行した。5人中4人は根治度Aであったが、1人は肝転移を有し同時性切除を行った。5人の患者の切除標本は、肝転移巣がある1人も含め、原発巣のNAC後の組織学的効果はいずれもGrade3と判定された。肝転移巣の組織学的効果はGrade 1bであった。

 5人の患者は全員生存中で、術後生存期間は223〜1266日である。5人中4人には再発を認めていない。

 米村氏は、「NAC後に著効となる症例が5%に認められたことは、今後の進行胃癌の治療方針に重要な示唆を与える」としながらも、「NACとしてのS-1とシスプラチンの併用効果は明らかになっておらず、今後も症例数を重ねて検討する必要である」と話していた。