進行胃癌に対しては、外科と腫瘍内科の治療対象を明確化して連携することにより、治療方針の統制が図られ、適切な集学的治療を推進しうると考えられる。3月4〜6日に東京都で開催された第81回日本胃癌学会総会のポスターセッションで、埼玉医科大学国際医療センター消化器外科の小柳和夫氏が、同病院の状況を解析し、発表した。

 進行胃癌患者は、臓器機能低下や治療に対するコンプライアンスの低下も懸念され、緩和医療も含めて慎重に治療を選択し、実施する必要がある。小柳氏は、同院におけるステージII〜IVの胃癌に対する治療の現状を解析し、外科と腫瘍内科の連携による集学的治療について検討した。

 対象としたのは、2007年4月の開院後、2008年3月までに外科で手術を行った胃癌患者73人(ステージIは除く)と、腫瘍内科で治療を行った140人。ステージ IIおよびIIIの症例には、補助化学療法としてS-1投与を推奨した。

 切除不能・再発症例については、PS 0〜2で主要臓器機能が保たれていれば、臨床試験を含めて適応とした。追跡期間は1〜21カ月(2009年2月)であった。

 ステージ IIの28人中、S-1投与は10人(36%)、非投与は18人(64%)であった。非投与の理由は、患者による拒否9人(50%)、高齢4人(22%)など。再発は2人で、非投与の患者であった。1人は死亡、1人はS-1投与中である。

 ステージIIIの19人中、S-1投与は10人(53%)、非投与は9人(47%)であった。非投与の理由は、高齢3人(33%)、重篤併存疾患2人(22%)などで、患者による拒否はなかった。再発は3人で、1人は死亡、1人はイリノテカン(CPT-11)、1人はAB1-007投与中である。

 ステージIVでは26人に胃切除(12人)、バイパス術など(14人)が行われ、胃切除の理由は症状緩和や狭窄、出血などであった。胃切除の12人中、化学療法は11人(92%)に施行され、S-1は11人に、パクリタキセルは1人に投与された。バイパス手術などを行った14人中、化学療法は6人(43%)に施行され、S-1は6人に、5-FUは2人に投与された。ステージIVでの化学療法非施行の理由は、緩和維持療法(BSC)選択やPSの低下であった。

 一方、腫瘍内科では一次治療としての化学療法は68人(49%)に行われた。内容はS-1が49人(72%)、S-1/CDDPが10人(15%)などで、BSCは44人(31%)に選択された。

 傾向としては、ステージIIIの症例の方がIIの症例よりも補助化学療法に積極的であり、補助化学療法後の再発症例においても、化学療法の継続によって予後の延長が期待される症例を認めた。また、ステージIV症例でも、姑息的切除によって症状が緩和され、化学療法が導入された群の予後は比較的良好であり、減量手術的な意味合いも示唆された。