胃癌肝転移に対する治療法は未だ確立されていない。それは、肝転移の頻度が胃癌切除例中4〜10%にとどまり、全生存率への影響もさほど高くないためだ。第81回日本胃癌学会総会で大阪大学消化器外科学の益澤徹氏は、肝動注化学療法を中心とした胃癌肝転移に対する自施設での治療成績を紹介、肝動注化学療法を含む集学的治療をより積極的に考慮してはどうかと述べた。

 対象は、1999年1月〜2008年12月に胃癌肝転移がみられた36人。単発肝転移の多くは肝切除・ラジオ波焼灼療法・マイクロ波凝固療法が行われ、多発肝転移に対しては、全身化学療法または肝動注化学療法が選択されていた。治療法別の内訳は、全身化学療法16人、肝動注化学療法を含む治療16人、肝切除・ラジオ波焼灼療法・マイクロ波凝固療法が4人。肝切除などを行った4人については化学療法との併用が行われており、全員無再発で経過した。平均生存日数は1521日だった。

 全身化学療法を行った16人の奏効率は50.0%、平均無増悪期間は172日、平均生存日数は424日。一方、肝動注化学療法を含む治療を行った16人の奏効率は81.3%、平均無増悪期間は387日、平均生存日数は784日と良好な成績だった。

 益澤氏は、「肝動注化学療法だけの効果ではなく、手術や全身化学療法との組み合わせによる効果も大きい」としながらも、多発肝転移で肝以外の病変がコントロール可能と判断できれば、局所コントロールに優れた肝動注化学療法の導入が有効と考えられるとした。