手術不能転移性胃癌患者にS-1シスプラチンドセタキセル3剤併用療法DCS療法)が高い効果を示し、25%の患者で手術可能となったことが明らかとなった。DCS療法は手術不能胃癌を対象としたフェーズ2臨床試験で、既に高い効果を持つことが、同じ研究グループによって昨年の米国臨床腫瘍学会ASCO)で発表されていた。今回はフェーズ1試験の患者も含めて解析が行われ、切除可能症例の長期予後が良好であることが示された。DCS療法の副作用の詳細は今回は発表されなかったが、ASCOでの発表では高い血液学的毒性も報告されており、血液学的な副作用に十分注意しながら、DCS療法を実施することが大切だといえるだろう。

 成果は3月4日から6日に都内で開催された日本胃癌学会で札幌医科大学医学部外科学第一講座助教の山口浩司氏によって発表された。

 フェーズ1試験で最もドセタキセルが少ない量が推奨用量となったため、フェーズ1、2とも同じ用法・用量で合計48人に投与が行われた。患者には3週間置きを1サイクルとして、S-1の40mg/m2を1日2回、1日目から14日目まで投与し、シスプラチン(60mg/m2)、ドセタキセル(60mg/m2)を8日目に投与した。

 その結果、フェーズ1、2合わせて全体の奏効率は87.5%となり、48人中12人が手術可能となった。手術症例の臓器別奏効率は原発巣が完全奏効(CR)が1人、部分奏効(PR)が11人、リンパ節はPRが12人、肝臓はCRが2人、PRが2人、腹膜はCRが2人、骨は1人がCR、卵巣は1人がPRで奏効率は100%だった。手術症例12人のうちダウンステージングできた9人では8人が無再発生存という良好な結果が得られた。ダウンステージングまでいかなかった3人は2人が局所再発で死亡し、1人がRFA施行後局所再発(生存中)となった。

 手術の有無による生存率の違いでは全症例の生存期間中央値が555日、手術ができなかった例が435日だったのに対して、手術ができた症例では874日となった。

 研究グループは、DCS療法が高い奏効率を示すことから、手術可能症例に対する術前化学療法としても有用と考えられるとし、現在多施設共同によるフェーズ2試験(DCS-NAC)を実施中だという。