第81回日本胃癌学会総会が3月4日から6日までの3日間、都内で開催される。胃癌診療では先進国である日本の現状が報告される。総会の会長を務める癌研有明病院消化器センター長の山口俊晴氏に話を聞いた。


――今年の胃癌学会の特色は何でしょうか?

山口 一言で言えば“ディスカッション”です。具体的に申し上げると、いくつか企画があります。1つは、3月4日の午後に開かれるコンセンサスミーティングです。胃癌学会の重要な事業の一つに「胃癌取扱い規約」があります。胃癌のいろいろな取り決め、病期分類や薬の出し方とかが記載されています。この規約は定期的に変えていますが、1999年から変わっておらず、そろそろ変えなければなりません。また、もう一つ胃癌治療ガイドラインがあって、これは2001年に第1版が出て、今第2版があり、現在第3版の改訂作業中です。

 取扱い規約とガイドラインは少しオーバーラップするところがあります。胃癌学会の前身の胃癌研究会が1960年代にでき、そのときに規約を作りました。最初は簡単な取り決めだけでしたが、細かいことをいろいろ付け加え始めてガイドライン的な内容が入ってきました。例えばこういう癌だったらこういう手術をしなさいとか。こういった内容が加わり、単なる取り決めでなくなってしまったので頻繁に改訂し始めたわけです。ところが頻繁に改訂すると、基準が変わることになるので混乱してしまいます。

 それで、治療の仕方などの部分は、何かエビデンスが出てきた時にガイドラインの方でやろう、きちんとすみ分けしようということになったのです。この両者を同時に改訂しようということで、3月4日午後のコンセンサスミーティングは4時間かけて行われます。ディスカッションしてみんなにこれはどう思うか直接賛否を問うてみるつもりです。

――規約の改定の内容はガイドラインとのすり合わせだけですか?

山口 もう1つ、分類の問題があります。国際対癌連合のTNM分類がもうすぐ大幅に変わります。ここで、海外の研究者の勝手にさせておくと大変具合が悪いのです。要するに胃癌の成績があまりよくない国々が勝手な基準を作ってしまうことになる。特に米国ですね。そこで、我々としてもいろいろ主張しているところです。つまり、日本は独自の分類法でやってきましたが、日本独自でいくらやっても世界に認められないと意味がないということです。ですからTNM分類とわが国の分類は今かなり近づいてはいるが、TNM分類に合わせていくにしても自分たちの意見もある程度通して行くことを目指して、作業が行われています。新しい規約における分類についてもディスカッションのテーマとなるでしょう。

 また、胃の悪性リンパ腫のガイドライン案が、2日目に議論されます。この3つのコンセンサスは学会の基本的な活動となります。

――「胃癌制圧への道筋を探る−現状と夢と」というのが今年のテーマですが、ここに込められた思いというのは何でしょうか。

山口 胃癌学会ができて10年ちょっとたちます。そこで、なぜ胃癌学会を作ったかを少し考え直してみたいと思うのです。研究会だとどうしても決まったテーマがあって、そのテーマ以外の発表は継続的に行われるのは中々難しかった。学会にすることで毎年様々な領域の発表が出せるようになり、継続されて演題が出てくるようになりました。その結果、化学療法の演題が大幅に増えましたし、内視鏡治療の発表も継続して出てくるようになった。ESD研究会は今年も附置研究会として行われますが、来年からは、胃癌学会と一緒に行うことになります。これで化学療法、内視鏡治療、外科手術の3本の大きな柱を持った学会になりました。

 そこで、中堅の5人の先生に日本胃癌学会の未来についてどう考えるか、話してもらおうと思っています。日本胃癌学会のこの10年間でよかったことは何だったのか。それから、もっとやらなければいけないことはないか。それを話してもらいたいと考えています。