手術不能・再発乳癌に対するエリブリンの市販後の使用成績調査から、使用実態と安全性情報についての中間解析結果が発表され、エリブリンは血液毒性に注意が必要であるが、適切な管理により比較的安全に使用できると考えられる結果が示された。6月27日から29日まで浜松市で開催された第21回日本乳癌学会学術総会で、国立病院機構四国がんセンター乳腺科の原文堅氏が発表した。

 エリブリンは、海外のフェーズ3のEMBRACE試験において、単剤で初めて前治療歴のある進行・再発乳癌患者の全生存期間(OS)を有意に延長した。国内では、アントラサイクリン系、タキサン系の薬剤で治療後の手術不能・再発乳癌に対し、2011年4月に製造販売承認され、同年7月から使用可能となった。

 ただし、承認時までの国内のフェーズ2試験(221試験)における安全性情報(対象:81人)は限られている。十分な情報を収集するため、市販後に使用成績調査が実施されており、日常診療下におけるエリブリンの使用実態、安全性および有効性が検討されている。今回は、エリブリンの使用実態と安全性情報について、中間解析結果が報告された。

 対象は、使用成績調査の契約施設において、2011年7月19日から12月17日までに、手術不能または再発乳癌に対しエリブリンによる治療を開始した症例。エリブリンの標準投与は、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を2-5分間かけて、週1回静脈内投与し、これを2週間連続で行い、3週目は休薬とした。これを1サイクルとした。各症例の観察期間は投与開始から1年間とし、1年未満で治療を中止する場合は、中止したサイクルの終了までとした。

 今回の中間解析では、全国316施設から登録された968人中、2013年3月29日時点で集計した949人を対象とした。949人中92人は観察継続中であり、集計時点での情報を集計した。

 患者背景では、年齢中央値は59歳(範囲:26-88)、再発乳癌が88%を占めた。PS 0/1/2/3/4はそれぞれ50.6%、38.3%、9.1%、1.9%、0.2%だった。エストロゲン受容体陽性は68.8%、プロゲステロン受容体陽性は50.6%、HER2陽性は18.2%、トリプルネガティブ乳癌は18.4%だった。手術不能・再発乳癌に対する治療レジメン数中央値は4(0-14)だった。

 市販後調査におけるエリブリンの初回投与量は、1.4mg/m2、1.1mg/m2、0.7mg/m2、その他(0.8-1.3mg/m2)がそれぞれ71.8%、19.1%、3.8%、5.4%、投与サイクル数中央値は4サイクル(1-18)、相対用量強度中央値は0.73(0.2-1.0)だった。初回投与開始から減量および休薬・延期のあった症例は、それぞれ34.7%と67.5%だった。ホルモン療法との併用は16.1%、抗悪性治療剤との併用は7.7%、放射線療法との併用は5.5%で行われていた。

 グレード3/4の血液毒性として、好中球減少症は59.6%、白血球減少症は50.1%に発現し、比較的高い頻度だった。発熱性好中球減少症は7.6%だった。
 
 全グレードの非血液毒性では、末梢神経障害が18.1%(グレード3/4は3.3%)に発現した。末梢神経障害の発現率は、エリブリンの投与開始時にすでに末梢神経障害を合併していた症例で27.4%、投与開始時に合併がなかった症例では15.4%だった。その他、倦怠感・疲労12.4%、脱毛症12.1%、悪心11.7%などが認められた。

 重篤な有害事象は、白血球減少症5.2%、発熱性好中球減少症4.8%、好中球減少症4.6%、肺炎1.2%などだった。エリブリンとの因果関係が否定できない死亡は6人で報告され、死因は、肺炎が2人、肝転移、敗血症・腫瘍崩壊症候群・播種性血管内凝固、間質性肺炎、肺出血が各1人だった。

 市販後調査では221試験よりも進行した症例が登録されていたが、安全性情報について、市販後調査と221試験に大きな違いはみられなかった。

 原氏らは考察として、「骨髄抑制が多く、重篤な有害事象として発熱性好中球減少症や肺炎も認めることから、休薬・減量などで上手くコントロールするとともに、感染症対策を施して重症感染症を防止することが重要」としている。