術前薬物療法を行わなかった原発性乳癌の手術実施患者を対象に、術前後のki-67 labeling index(ki-67 LI)を評価した結果、患者の24%で手術前後にki-67 LIが変動したことが明らかになった。岩手医科大学外科学講座の小松英明氏が、6月27日から29日まで浜松市で開催された第21回日本乳癌学会学術総会で発表した。
 
 乳癌におけるki-67の発現状態を示すki-67 LIは、予後予測因子の1つとされている。一方で、ki-67の発現状態は術前の針生検(CNB)と手術標本の間で異なることが指摘されており、それには腫瘍の進展状況、血流などの微小環境による不均一性が影響していると考えられている。

 そこで小松氏らは、術前に実施するCNBと手術検体におけるki-67 LIに違いがあるかを検討した。

 対象は、2011年1月〜2012年12月までに同院で原発性乳癌手術を実施したステージI〜IIICの患者のうち、術前薬物療法を実施せず、かつki-67(MIB-1)の免疫染色を実施した患者75人。ki-67 LIは、目視でその値を算出し、14%以上を高値群、14%未満を低値群とした。

 患者の年齢中央値は56歳(範囲:34-87歳)だった。TNMステージはIが63%、IIが27%、IIIが10%、組織グレードは2が76%、エストロゲン受容体(ER)陽性は87%、プロゲステロン受容体(PgR)陽性は76%、HER2陽性は8%を占めた。

 検討の結果、患者の24%で、手術前後にki-67 labeling indexの変動が見られた。術前後のki-67 LI中央値は、それぞれ11%、10%だった。

 ki-67 LIが術前後で変動した不一致患者(18人)において、手術検体のki-67 LIのばらつきはCNBよりも少なく、その値は5-20%の範囲に集中していた。

 術前にLuminal AまたはBと判定された患者(64人)のうち、術後にluminalタイプが変化した患者は25%(16例)を占めた。内訳は、luminal AからBが5例、luminal BからAが11例だった。つまり、術前にluminal Bだった患者(27人)のおよそ4割がluminal Aに変化したことになる。

 これらの結果から小松氏は、「術前後にluminal A、Bの変化が見られた患者は全体の25%を占め、luminal BからAに変化した患者は約40%を占めた。腫瘍径や不均一性、染色固定状態によってki-67 LIが変動していた可能性があるが、薬物療法を決定する際にはki-67 LIが変動している可能性を十分に考慮し、治療がoverまたはunderにならないように薬剤選択に注意が必要」と語った。