転移を有するHER2陰性乳癌で、アントラサイクリン系薬剤による治療歴がある患者に対し、カぺシタビン(X)とドセタキセル(T)の併用療法(XT療法)は、ドセタキセル単独療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、フェーズ3のランダム化比較試験(JO21095試験)からわかった。同試験では、XT療法が肝や肺に転移を有する症例に有用な可能性、ならびに血中循環腫瘍細胞(CTC)が予後や効果予測のマーカーとなる可能性も示された。6月27日から29日まで浜松市で開催されている第21回日本乳癌学会学術総会で、社会医療法人博愛会相良病院の相良吉昭氏が発表した。

 相良氏らはJO21095試験において、アントラサイクリン系薬剤による治療歴があり、転移を有するHER2陰性乳癌患者を対象として、XT療法と順次療法(T→X療法)におけるドセタキセル単独療法の有効性と安全性を比較検討した。

 治療は3週を1サイクルとし、XT群では、カぺシタビン1650mg/m2/日を1-14日目まで投与し、ドセタキセルは安全性を考慮して60mg/m2を3週毎に投与した。T→X群では、ドセタキセル70mg/m2を3週毎に投与し、進行(PD)を認めた後にカぺシタビン2500mg/m2/日を1-14日目まで投与した。

 主要評価項目はPFSとし、XT群ではランダム化割り付け時から腫瘍の増悪または死亡までの期間とした。T→X群ではドセタキセル単独療法時における同期間とした。副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、有害事象などだった。

 163人が登録され、XT群82人、T→X群81人となった。患者背景はバランスがとれており、XT群とT→X群において、年齢中央値はそれぞれ56.5歳と57.0歳、ホルモン受容体陽性の患者はそれぞれ80.5%と76.5%、アントラサイクリン系薬剤が術前/術後/転移に投与されたのは、それぞれ26.0/38.0/36.0%と26.0/37.0/37.0%だった。転移を1臓器以上に認めたのは、XT群92.4%、T→X群92.2%だった。

 主要評価項目であるPFS中央値は、XT群10.5カ月、T→X群9.8カ月、ハザード比は0.62(95%信頼区間:0.40-0.97)となり、XT群で有意に改善した(p=0.0342)。

 PFSのサブグループ解析では、肝または肺の転移を有する症例に対するXT療法のハザード比がそれぞれ0.39(95%信頼区間:0.19-0.84)と0.43(95%信頼区間:0.21-0.90)となり、より進行が早い腫瘍にXT療法の効果が期待できる可能性が示唆された。

 追跡期間中央値18カ月の時点で、OS中央値は、XT群33.8カ月、T→X群28.8カ月、ハザード比は0.89(95%信頼区間:0.52-1.53)で、有意差はなかった(p=0.6822)。奏効率は、XT群69.6%、T→X群61.0%だった(p=0.3132)。

 グレード3または4の有害事象の発生頻度とQOLは、両群でほぼ同程度だった。グレード3または4の好中球減少症は、XT群8.5%、T→X群ではT単独療法とT→Xの順次療法のいずれにおいても12.5%に発現し、発熱性好中球減少症は、それぞれ6.1%、10.0%、10.0%だった。癌疼痛は、XT群0%、T→X群のT単独療法では2.5%、T→Xの順次療法では3.8%に発現した。

 探索的検討として、CTCの予後または治療効果の予測マーカーとしての可能性が検討され、148人で評価が行われた。CTC 2未満を陰性、2以上を陽性とすると、治療前にCTC陽性の症例は、陰性の症例と比較して有意にPFSおよびOSが短くなることが示唆された。この傾向は、初回化学療法後もCTC陽性が継続した症例で特に顕著だった。これらの結果から、転移を有するHER2陰性乳癌に対し、治療開始前のCTC数は予後や効果予測としてのマーカーとなる可能性が示唆された。

 相良氏は「初回の化学療法でCTCが陰性化しない症例は、同じ化学療法を継続しても効果が期待できないため、治療法を変更した方がよい可能性が考えられる」と考察した。治療法を変更すべきかについてのフェーズ3試験(SWOG-S0500)が現在進行中である。