近年実施された、骨転移に対するデノスマブゾレドロン酸の有効性を比較検討する国際大規模フェーズ3試験3件の統合解析から、顎骨壊死(ONJ)の3年間の累積発生率は2剤とも2%未満で、そのうち3割以上は骨露出が消失することが示された。がん研究会有明病院化学療法科の高橋俊二氏が、6月28日から熊本で開催された第20回日本乳癌学会総会において統合解析結果の詳細について紹介した。

 骨転移に対するビスホスフォネート製剤の重大な副作用としてONJ(Osteonecrosis of the Jaw)がある。ONJとは、頭蓋および顔面への放射線治療歴がなく、顎骨の露出が8週以上持続している状態と定義される。侵襲的歯科処置をしていない場合や、抗RANKLヒト型モノクローナル抗体であるデノスマブにおいても発生する可能性があることがわかっている。

 ゾレドロン酸などのONJ発現頻度のデータは後方視的研究しかなく、大規模試験での検証が待たれていたが、今年、骨転移を有する乳癌、前立腺癌、その他固形癌または多発性骨髄腫それぞれを対象に、デノスマブ、ゾレドロン酸の骨関連事象(SRE)に対する効果を比較検討した3件の国際ランダム化二重盲検フェーズ3試験におけるONJの統合解析データが報告された(Saad F et al. Ann Oncol 2012 May;23(5):1341-7)。

 これらの試験は、デノスマブ(120mg皮下注)およびゾレドロン酸(4mg静注)を月1回投与し、SREを比較したもので、その結果、デノスマブはゾレドロン酸に比べ、SREの発生を約20%減少させた。

 3つの試験の登録患者計5723例中、ONJの可能性があるまたは口腔関連事象が確認された症例が276例で、そのうちONJと判定されたのは89例だった。うち、デノスマブ群52例、ゾレドロン酸群37例で、ゾレドロン酸群とデノスマブ群のONJ累積発生率はそれぞれ、1年目0.5%:0.8%、2年目1.0%:1.8%、3年目1.3%:1.8%だった。デノスマブ群にONJ発現が若干多い傾向にあったが、有意な差ではなかった(p=0.13)。

 全身性の危険因子としては糖尿病、貧血、化学療法剤、コルチコステロイドなどが検討されたが、唯一、血管新生阻害剤使用がONJのあるグループでは16%で、ONJのないグループと比較して高かった。

 ONJの治療には、約4割で骨除去などの限定的施術が、残り6割には保存的治療が行われた。ONJ患者の約36%ではONJの消失(骨露出の粘膜による完全な被覆)が認められ、消失までの期間は平均8.2カ月だった。治療と転帰について、2群間で差はなかった。

 デノスマブについて、「抗体薬は半減期が短いため、顎骨壊死の改善も早い可能性が期待できるか」との会場からの質問に高橋氏は「この検討で改善率が高いという結果は示されていない」と説明し、「詳しい知見を得るためにも、ONJに対する治療法の確立が望まれる」と述べた。