術後補助療法として単独内分泌療法を受けた乳癌患者における遠隔再発・癌死の予測因子は、PgR陰性、高度の脈管侵襲、Ki-67値30%以上であることが示された。ER陽性/HER2陰性乳癌でこれらの条件にあてはまる患者では、化学療法の追加を考慮する必要があることが示唆された。川崎医科大学病理学2の鹿股直樹氏が、6月28日から熊本市で開催された第20回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性乳癌患者への術後補助療法として、ホルモン療法に化学療法を上乗せすることが有効かどうかについては明確になっておらず、現在も議論されている。

 そこで、鹿股氏らは、術後補助療法としてホルモン療法のみを受けた患者を対象に、ホルモン療法単独では再発を予防できない、つまり化学療法を上乗せする必要がある患者を予測する因子を検討した。

 対象は、1999年1月から2003年12月までに川崎医科大学、四国がんセンター、国立がん研究センターにおいて術後にホルモン療法のみを受けた261人。HR、HER2の発現状態、ki-67値のほか、探索的因子としてHER1、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、アルデヒド脱水素酵素1(ALDH1)についても検討した。

 患者背景は、50歳超が70.5%、腫瘍径2cm以下が72.4%、リンパ節転移陰性が80.5%を占めた。術式では、乳房温存術は59.4%、乳腺切除術が40.6%。ER陽性は100%、プロゲステロン受容体(PR)陽性は73.6%。HER2発現状態は0が62.5%、1+が37.5%。ホルモン療法の内訳は、タモキシフェンが65.1%、アロマターゼ阻害薬が15.7%、LH-RHアゴニスト+タモキシフェンが12.6%、タモキシフェン→アロマターゼ阻害薬が4.6%。遠隔転移は11人、乳癌による死亡は4人だった。

 Ki-67値は、30%未満が83.8%を占めた。HER1陰性は91.6%。IGFR陰性が24.5%、弱く染色された症例が65.5%、強く染色された症例が10.0%。ALDH1は、10%未満が42.5%、10−50%が44.1%、50%超が13.0%だった。

 遠隔転移無再発生存に関与する因子を多変量解析したところ、PgR陰性(ハザード比10.3)、高度の脈管侵襲(ハザード比21.8)が抽出された。カプランマイヤー生存曲線においては、PgR陰性、高度の脈管侵襲、Ki-67値30%以上について、それぞれ有意に遠隔転移無再発生存率が低かった。

 同様に、乳癌特異的生存に関与する因子について多変量解析した結果、高度の脈管侵襲(ハザード比287.3)、PgR陰性(ハザード比25.1)、Ki-67値30%以上(ハザード比19.6)が抽出された。カプランマイヤー生存曲線では、PgR陰性、高度の脈管侵襲、Ki-67値30%以上について、それぞれ乳癌特異的生存率が有意に低かった。

 これらの結果から鹿股氏は「術後補助単独ホルモン療法を受けた早期乳癌患者の遠隔再発・癌死の予測因子として、脈管侵襲が高度(Ly3)、PgR陰性(1%未満)、Ki-67値が高い(30%以上)が抽出されたことから、ER陽性/HER2陰性乳癌でこれらの条件にあてはまる患者では、化学療法の追加を検討する必要がある」と指摘した。