BMIは全年代において乳腺濃度に大きく影響を及ぼすことが示された。また、40代では授乳経験の有無が乳腺濃度に影響を与える傾向があり、50代以降になると出産数が乳腺濃度に影響を与えると報告された。岡山大学病院乳腺内分泌外科の元木崇之氏らが、6月28日から熊本で開催された第20回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 高濃度乳腺は乳癌のリスク因子とされており、乳癌リスクの代替指標としての意義が検討されている。乳腺濃度は出産や授乳によって低下することが知られており、これらは同時に乳癌リスク軽減因子でもある。BMIと乳腺濃度には負の相関関係があるが、肥満は乳癌のリスク因子であり、この関係には矛盾が認められる。

 そこで元木氏らは、乳腺濃度と出産・授乳歴との関連について解析し、それらの患者背景における重要性について検討した。

 対象は、2010年12月から2011年10月までに検診3施設においてマンモグラフィを撮影した乳癌既往のない女性527例(平均年齢53.4歳、閉経前219例、閉経後303例)。生活歴などに関する横断的調査を実施した。順序ロジスティック解析により、年齢階層別の出産数・授乳経験の有無と、乳腺濃度の解析を行った。

 乳腺濃度はマンモグラフィによりBI-RADS(Breast Imaging Recording and Data System)に従い、乳腺濃度25%未満の脂肪性、25%から50%の乳腺散在、50%から75%の不均一高濃度、75%より濃度が高い高濃度の4段階で判定した。

 その結果、年齢が上がるに従い、乳腺濃度は低下していた。高濃度、不均一高濃度の割合が下がり、脂肪性が増加していた。

 乳腺濃度と授乳経験の有無について、全年代(20・30代、40代、50代、60代、70代)を総合すると、授乳経験がある例の方が乳腺濃度は低下していた。年代別に解析すると、特に40代では授乳経験がある例において乳腺濃度が下がる傾向が高かった(p=0.0507)。

 乳腺濃度とBMIの関係について単変量解析を行った結果、70代を除く全ての年代で有意に乳腺濃度が低下していた。乳腺濃度と出産数の関係は、50代、60代において、出産数に応じて有意に乳腺濃度が低下していた。多変量解析を行った結果でも、BMIは70代を除く全年代で有意差があり、出産数は50代、60代で有意差があった。

 これらの結果から元木氏は、40代では授乳経験の有無が、50代では出産数が乳腺濃度に影響を与えるとまとめ、「閉経を過ぎると、出産・授乳の有無による影響が乳腺濃度に反映されやすくなる傾向がある」と考察した。