術前/術後療法を受けたトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対する追加化学療法としてS-1の有効性と安全性を検討したSBCCSG-14試験の中間解析で、12カ月間のS-1継続投与は十分に実行可能性があることが示された。6月28日から熊本で開催された第20回日本乳癌学会総会で、埼玉乳がん臨床研究グループ(SBCCSG)を代表して自治医科大学附属さいたま医療センターの蓬原一茂氏が発表した。

 SBCCSG-14試験の目的は、手術、術前または術後化学療法、必要に応じて放射線療法が施行されたTNBC症例を対象に、S-1による追加治療を行い、S-1の投与完遂性、安全性、有効性を評価すること。主要評価項目は12カ月投与完遂率、副次評価項目は安全性、生存率、無再発生存率、S-1の相対用量強度などを設定した。

 S-1の投与量は、胃癌のデータ(ACTS-GC)をもとに、12カ月完遂可能と示された用量である80mg/m2/日とした。投与スケジュールは、頭頸部癌データで4週間投薬/2週間休薬よりも完遂性が高いとされた2週間投薬/1週間休薬を1コースと設定した。

 適格基準は、初回治療として術後補助化学療法を施行した症例、または術前化学療法で組織学的完全奏効(pCR)が得られていない症例で、ER、PgR、HER2がいずれも陰性のTNBC患者。

 登録患者の初回治療は、手術については乳房切除または部分切除、およびセンチネルリンパ節生検またはリンパ節廓清、化学療法についてはアントラサイクリン系+タキサン系薬剤を最低投与量以上で投与した術前または術後化学療法とした。また、必要に応じて放射線療法を施行した。

 今回の中間解析は、S-1内服開始から12カ月を経過した29例を対象に、S-1内服12カ月の施行可能性を評価し、試験継続を判定した。

 中間解析の対象となった29例は、平均年齢51歳、術前化学療法/術後化学療法を受けた患者はそれぞれ19例/10例。12カ月間投与継続例は18例(62.1%)で、治療を中止した患者の理由は、有害事象6例、再発5例だった。S-1の相対用量強度は、再発例を除いた24例では87.4%、全29例では89.1%だった。

 S-1の238日服薬実施率は74.1%と良好だった。また、相対用量強度は89.1%、および3年時点での生存率、無再発生存率はそれぞれ82.8%、68.6%だった。

 有害事象は29例中27例(93.1%)で認められ、グレード3が9例(31%)、グレード4の有害事象はなかった。主な有害事象は、白血球減少症(59%)や好中球減少症(45%)など血液毒性のほか、ビリルビン上昇(45%)、AST(31%)、ALT(28%)、アルカリホスファターゼ上昇(38%)、口内炎(55%)、下痢(38%)、色素沈着(48%)、爪の変化(28%)などだった。

 今回の中間解析による12カ月服薬完遂率および相対用量強度は、胃癌を対象としたACTS-GC試験とほぼ同等であり、また有害事象も後期第2相臨床試験とほぼ同等であったことから、TNBCに対するS-1の12カ月追加療法は認容性があると蓬原氏は結論づけた。

 同グループは、今後試験を継続して、生存率や無再発生存率について、さらに症例数を集積し解析する予定だ。