エコーを用いて乳癌術前化学療法の効果判定を行う際には、三方向から測定して推定体積を算出することで、従来の一方向からの測定よりも正確に治療効果判定ができる可能性が示された。埼玉医科大学乳腺腫瘍科の島田浩子氏が、6月28日から熊本市で開催された第20回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 術前化学療法の治療効果判定を行う際には、一般的にRECIST基準が用いられるが、RECISTでは一次元の画像をもとに腫瘍を評価するため、過小評価される可能性が指摘されている。

 そこで島田氏らは、術前化学療法の治療効果判定法として、エコーで腫瘍を三方向から測定し、腫瘍の推定体積を算出する方法を提案。エコーで一方向から測定する従来法の治療効果判定結果と比べることで、有効性を検討した。

 対象は、2007年12月から2011年9月までに同科で乳癌と診断され、術前化学療法を施行後に手術を行った62例。

 新たな治療効果判定法として、エコーで腫瘍を三方向から測定し、推定体積を算出した〔(腫瘍縦径×横径×厚さ×π)/6〕。いずれの方法においても、エコー像の低エコー域での計測とし、総和が30%以上の縮小を部分奏効(PR)、20%以上の増大を進行(PD)とした。

 患者の平均年齢は53歳、病期はIIAが24.2%、IIBが46.8%、IIIが29.0%。ホルモン受容体(HR)陽性・HER2陰性が50%、HR陽性・HER2陽性が8.0%、HR陰性・HER2陽性が27.5%、トリプルネガティブ症例が14.5%だった。

 両測定法における奏効率を比較すると、一方向からの測定は61.3%、三次元測定は80.6%となり、不一致例があった。

 具体的には、治療効果判定の不一致が見られた15例において、いずれも一方向測定では不変(SD)と判定されたが、三次元測定ではPRと判定された症例だった。病巣数を調べると、単発が9例、2個が4例、3個が2例。HR陽性・HER2陰性が46.7%、HR陰性・HER2陽性が33.3%、トリプルネガティブが20.0%だった。

 不一致例15例における組織学的効果判定は、グレード1が43.0%、グレード2が40.0%、グレード3が13.3%を占めた。また、MRIによる評価の結果、一方向測定ではSDだった症例が三方向測定ではいずれもPRと評価され、MRIではPRが66.7%、SDが33.3%だった。

 これらの結果から島田氏は「一方向からの計測でSDと判定されたが、三次元からの測定でPRとなった判定不一致例の組織学的効果判定は、グレード2、3が53.3%を占めていた。よって、従来の一方向からの測定で過小評価されていた症例は、三次元から測定することでより正確に評価できる可能性が示唆された」と語った。