非浸潤性乳癌で、乳房温存術後の同側乳癌の発症は4.1%、対側乳癌は4.6%であり、乳房温存術後同側乳癌のリスク因子は、切除断端と腫瘍の距離(1mm未満)や若年(40歳以下)、対側乳癌のリスク因子はnon-comedo型、腫瘍径1.3cm超などであることが示された。国立がん研究センター中央病院乳腺外科の田村宜子氏らが、9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 1993年から2008年の手術例5731人のうち、最終病理診断で非浸潤癌と微小浸潤癌(5mm以内)は400人、このうち再度顕鏡して確認できた368人を解析対象とした。年齢中央値は50歳(25-83歳)、40歳以下が51人(14%)、40歳超が317人(86%)だった。両側乳癌があった患者は58人(12%)。腫瘍径中央値は2.6cm(0.1-10cm)だった。非浸潤性乳管癌(DCIS)が348人で、うちcomedo型が26%、non-comedo型が74%。非浸潤性小葉癌(LCIS)は20人(5%)だった。

 分析の結果、観察期間中央値61.8カ月(1-270カ月)で、全イベントは26人(7.1%)。このうち乳房温存術後の同側乳癌が146人中6人(4.1%)、対側乳癌が368人中17人(4.6%)、遠隔転移(骨転移)が1人、術後の腋窩リンパ節再発が1人、全乳房切除術後の胸壁再発が1人だった。

 乳房温存術後の同側乳癌で、単変量解析の結果、40歳以下が40歳超に比べて発症リスクが高く(p=0.04)、切除断端1mm未満に腫瘍細胞が認められた場合のほうが1mm以上よりもリスクが高かった(p=0.002)。しかし、今回の検討では、放射線療法の有無、内分泌療法の有無では有意な差はなかった。多変量解析では切除断端1mm未満が有意だった(p=0.01)。

 対側乳癌では、単変量解析で、non-comedo型(p=0.002)、壊死なし(p=0.03)、さらに腫瘍径1.3cm超(p=0.06)、核グレード1(p=0.07)がリスク因子である可能性があった。内分泌療法の有無で有意差はなかった。多変量解析ではnon-comedo型が有意だった(p=0.007)。

 また対側乳癌について、層別化解析したところ、non-comedo型の276人では、単変量解析および多変量解析で腫瘍径1.3cm超がリスク因子として抽出された(p=0.02)。ホルモン受容体陽性/HER2陰性の204人では多変量解析で腫瘍径1.3cm超(p=0.02)、核グレード1(p=0.004)が抽出された。

 このため、「乳房温存術後の同側乳癌と対側乳癌では、その背景が異なることが示唆された」とした。