乳癌において術前化学療法前のMRIで得られる腫瘍の形態は、病理学的完全奏効(pCR)の独立した効果予測因子であることが示された。9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会で、大阪大学乳腺・内分泌外科の道下新太郎氏が発表した。

 術前化学療法(NAC)でpCRが得られた症例は予後良好であることが知られているが、現在のところ、pCRの予測因子については確立されたものはない。

 そこで道下氏らは、NAC前の造影MRIにおける腫瘍の形態と造影効果が、NACの効果予測因子になるかどうかを検討した。

 対象は、NACとしてFEC療法(5-FU 500mg/m2、エピルビシン75mg/m2、シクロホスファミド500mg/m2)とweeklyパクリタキセル(80mg/m2)を行った患者で、NAC前に造影MRIを行い、2005年12月〜2011年3月の間に手術を施行したステージII、IIIの原発性乳癌153例。

 閉経後は54.2%、ステージIIa、IIb、IIIa、IIIbがそれぞれ32%、49%、12.4%、6.5%で、ER陽性例(10%以上)は64.1%、PgR陽性例(10%以上)は41.8%、HER2陽性例は24.8%だった。

 造影MRIでの腫瘍の形態については、smooth、lobulated、spiculated、diffuseの4タイプに分けており、pCRは浸潤巣が完全に消失し、かつリンパ節転移陰性と定義した。造影効果(Enhancement rate、%)については、(Spost−Spre)/Spre×100(Spre:造影前のsignal intensity、Spost:90秒間のsignal intensity)とした。

 解析の結果、153例中、pCRが得られたのは32例(20.9%)。

 うち、smoothタイプ(39例)でpCRが得られたのは16例(41%)、Lobulatedタイプ(15例)でpCRが得られたのは0例、Spiculatedタイプ(47例)でpCRが得られたのは8例(17.0%)、Diffuseタイプ(52例)でpCRが得られたのは8例(15.4%)。smoothタイプで有意にpCR率が高かった。

 Lobulatedタイプ、spiculatedタイプ、diffuseタイプを併せてnon-smoothタイプとし、smoothタイプと比較した結果、smoothタイプではpCR率は41%、non-smoothタイプでは14%で、有意にsmoothタイプでpCR率が高かった。

 腫瘍の形態と臨床病理学的因子との関係を解析した結果、ER陰性例ではER陽性例と比べて有意にsmoothタイプが多く、またPgR陰性例においてもPgR陽性例と比べて有意にsmoothタイプが多かった。また、Ki67低値例(20%未満)ではKi67高値例と比べて有意にsmoothタイプが少なかった。

 造影効果とpCRとの関係を解析した結果、Ehnancement rateを100%以上、100%未満に分けても、pCR率に差はなく、またRim enhancement陽性/陰性に分けてもpCR率に有意差はなかった。

 また、pCRに対する単変量解析の結果、ER、PgR、Ki67、MRIによる評価でsmoothタイプかどうかが有意な因子として見いだされ、多変量解析の結果、smoothタイプかどうかのみが有意な因子として見いだされた。