乳癌術後患者を対象として、退院後に行われたリンパ浮腫ケアに関するアンケート調査の結果から、リンパ浮腫への関心は高く、外来看護師に対する要望も明確になっていることがわかった。要望として多かったのは、情報、相談窓口の設置、腕の計測などだった。9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で、博愛会病院(福岡市)看護部(外来)の宮田瀬里奈氏が発表した。

 同院において、乳癌術後患者のリンパ浮腫の指導説明は、病棟では退院時、外来では通院時に行い、さらに月に3回、リンパ浮腫外来を開いている。

 宮田氏らは、患者から寄せられた要望から、患者ニーズと外来指導の整合性、病棟との一貫性をより良くするため、リンパ浮腫予防に対する患者のニーズを把握することを目的として、退院患者にリンパ浮腫ケアに関するアンケート調査を行い検討した。

 対象は、2009年6月から2010年6月までに乳癌手術でリンパ郭清を行った患者126人。アンケート調査は2010年10〜11月に行い、診察の待ち時間に記入してもらい、レディース外来受付に設置した回収箱で回収した。この期間に受診予定のない患者には郵送した。

 アンケートの内容の主な項目は、「リンパ浮腫予防の説明時期・内容・満足度」「退院時の説明以外で欲しい情報」「リンパ浮腫外来の存在の認知度」「看護師への要望」など、リンパ浮腫ケアの現行の在り方についてだった。

 アンケートの回収率は94%、有効回答率は90%(113人)となった。

 退院時のリンパ浮腫予防の説明内容に「満足した」と回答したのは58%だった。残る42%の回答には、「個別の指導が欲しかった」、「内容が難しかった」、「欲しい情報が得られなかった」などの意見が含まれていた。退院時の1回の指導では患者が十分に知識を習得できず、外来での継続指導の必要性が示された。

 退院時の説明以外で欲しい情報は、「リンパ浮腫を起こしてからの対処方法」(28%)、「リンパマッサージの方法を映像で見たかった」(22%)、「マッサージの方法を実際に体験したかった」(19%)などの順に多かった。

 リンパ浮腫外来の存在について「知っていた」と回答したのは63%だった。リンパ浮腫への関心は術後数カ月で高まる反面、リンパ浮腫外来の認知度は低かった。「知っていた」患者の約半数は退院時の指導で情報を得ていたが、まだ不十分であり、情報をより浸透させる必要があると考えられた。

 外来看護師に求めるものとしては、「外来にパンフレットや本を置いてほしい」(26%)、「相談窓口をつくってほしい」(24%)、「腕の計測をしてほしい」(15%)、「マッサージの手順を教えてほしい」(13%)など、具体的な要望が挙げられた。

 現在、入院患者全員の腕周囲径の計測を行い、退院後に外来でリンパ浮腫を認める患者には比較計測と評価を行い、リンパドレナージを実施している。7月には相談窓口を開設、患者が学べる媒体としてインターネットを導入し、書籍も設置した。さらに患者向けのセミナーの開催なども計画しているという。

 宮田氏は今回の検討を通し、「患者は一時的な関わりではなく、病棟、リハビリ、外来での継続的なサポートを必要としている」と話した。