34歳以下の若年性乳癌の予後は、35歳以上よりも不良であり、特に授乳期に乳癌を発症した患者の予後は悪いことが明らかになった。ブレストサージャリークリニック乳腺科の片岡明美氏が、9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で、2009年度日本乳癌学会班研究「若年性乳癌の特徴とサバイバーシップに関する研究」の最終報告として発表した。しかし早期発見によって予後が改善する可能性も示され、「より若い人に乳癌のリスクや検診の重要性を周知させることが大切」と語った。

 研究には日本乳癌学会の全国乳がん患者登録調査データベースが用いられた。まず、2004年から2009年のデータ(10万9617例)により、最近の若年性乳癌の特徴が検討された。34歳以下(若年性)の乳癌は2.7%で、35歳以上(非若年性)の患者に比べて、家族歴がある、自己発見が多く、腫瘤が大きい、リンパ節転移が多い、治療は術前化学療法が多く、乳房温存療法+腋窩郭清が多い、などの特徴があった。

 次に、1975年から2000年のデータ(14万6690例)により、予後解析と妊娠期乳癌の分析が行われた。若年性乳癌は6%を占め、観察期間中央値は8.6年だった。予後を比較した結果、若年性乳癌の予後は非若年性乳癌に比べて有意に不良であることが示された。

 しかし若年性乳癌では、リンパ節転移数が少ないほど、また病期ステージが低いほど、予後は良いことが示された。このため片岡氏は、「若年性乳癌は予後不良と決めつけるのではなく、早期発見によって予後改善の可能性があり、検診や啓発の意義がある」とした。特に、リンパ節転移がない場合は、若年性乳癌と非若年性乳癌で予後に差はなかったが、リンパ節転移が進むにつれ、若年性乳癌のほうが予後は不良だった。

 妊娠期の乳癌は全体の0.52%で、妊娠期に乳癌が見つかった患者の平均年齢は33.7歳、授乳期乳癌は32.1歳だった。妊娠期乳癌の特徴は、若年発症が多いこと、妊娠の経過とともに自己発見率が高くなり、発見される乳癌も、進行した状態で悪性度の高いタイプ(ER-PgR-)が多いことであった。予後を比較すると、若年性乳癌において「妊娠の合併はそれほど予後を悪くしない」(片岡氏)が、授乳期乳癌の予後は有意に不良だった(p<0.01)。近年は高齢出産が増えているが、乳癌発症率の高い年代と重なることから、「妊娠前の乳癌発見が重要」と片岡氏は話した。

 研究班ではさらに、乳癌学会認定施設へのアンケート調査も行い、402施設中229施設から回答を得た(回答率は57%)。若年性患者に対して、診断や検査で特別な配慮をしているとした施設が約7割で、そのうち将来の妊娠希望を尋ねている施設が90%だった。また妊孕性の保持のために、「薬物療法の適応や内容の工夫している」や「LH - RHアナログを併用している」施設がそれぞれ4分の1以上を占め、そのほか受精卵凍結保存や未受精卵凍結保存と答えた施設もあった。また回答施設の過半数で、化学療法中にLH - RHアナログを併用していた。