HER2陰性乳癌に対する術前化学療法として、CEX療法(シクロホスファミドエピルビシンカペシタビン)は奏効率が高く、認容性も認められることが単施設の検討で明らかになった。日本医科大学多摩永山病院外科の横山正氏らが、9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 対象は、75 歳以下、浸潤性乳癌で、リンパ節転移陽性、もしくは腫瘍径2cm超でリンパ節転移陰性、HER2 陰性(Luminal A、トリプルネガティブ)の患者。治療は、3週間おきに、シクロホスファミド500〜600mg/m2を第1日と第21日に、エピルビシン80〜90mg/m2を第1日と第21日に投与し、カペシタビン1500〜1657mg/m2を2週投与1週休薬とし、これらを4コース行った。

 2009年1月から2011年3月までに治療した9人が対象となり、全例に奏効が認められ、術前化学療法後にすべての患者で乳房温存手術が行われた。術後は放射線療法が全ての患者に、全身化学療法が6人に行われた。
 
 臨床的完全奏効(cCR)は5人(55.6%)だった。また病理学的完全奏効(pCR)は3人(33.3%)で、乳房内残存腫瘍が1cm未満となったnear pCR(n-pCR)は2人(22.2%)だった。また個々の患者で効果を見ると、トリプルネガティブやa2(充実腺管)症例でcCRやpCRが得られる傾向があったことから、「CEX療法はトリプルネガティブ、a2症例のファーストライン化学療法として有効な可能性がある」とした。

 主な有害事象は白血球減少、好中球減少、貧血、消化器症状、手足症候群、口内炎で、すべてグレード2以下だった。この結果について横山氏は、HER2陰性乳癌の治療に使われるFEC療法(5-FU、エピルビシン、シクロホスファミド)に比べて、CEX療法は「アントラサイクリン系抗癌剤の用量を低く設定し、4コースと短期間であることから、有害事象をグレード2に抑えることができた」とした。

 これらの結果から、横山氏は「症例数が少なく厳密なランダム試験ではないためバイアスがかかった感は否定できない」とした上で、「短期間で高い奏効率と認容できる有害事象の両立が可能なCEX療法は、HER2陰性乳癌で臨床効果が得られる有効な術前化学療法のレジメンの1つと考えられる」と述べた。なおフランスでは術前化学療法として、FEC療法とCEX療法を比較する試験が開始されている。