乳癌の術前もしくは術後化学療法として使用されるTC療法(ドセタキセルシクロホスファミド)で、ドセタキセルとシクロホスファミドの投与順序を逆にすることで、疲労や浮腫、末梢神経障害などの非血液毒性が軽減することが、後ろ向き研究から明らかになった。虎の門病院乳腺・内分泌外科の花岡まりえ氏らが、9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 原発性乳癌に対し、TC療法は術前、術後化学療法として使用されているが、皮疹や浮腫、神経障害などの非血液毒性が出現する。そこで、ステージ1-3の原発性乳癌で、術前もしくは術後の補助化学療法としてTC療法を行った患者を対象に、TC療法と、ドセタキセルとシクロホスファミドの投与順序を逆にしたrTC療法における副作用を比較した。2006年12月から2009年8月はTC療法が、2009年9月から2011年6月はrTC療法が行われた。

 TC療法では、3週おきに、ドセタキセルを75mg/m2投与し、その後、シクロホスファミドが600mg/m2投与された。rTC療法では、同量のシクロホスファミドを投与し、その後で同量のドセタキセルが投与された。これらの治療は4コース行われた。

 TC療法が行われた群(50人)の年齢中央値は49歳、rTC療法が行われた群(42人)も49歳、術後補助療法の患者がTC療法は82%、rTC療法が81%だった。またTC療法群の30%、rTC療法群の23.8%にHER2過剰発現が見られ、それらの患者にはトラスツズマブを併用投与した。

 非血液毒性の発現率を比較すると、疲労については、TC療法群は72%で見られたのに対し、rTC療法群は23.8%と有意に低く(p=0.0001)、浮腫はそれぞれ48%、16.7 %(p=0.003)、末梢神経障害が66%、14.3%(p=0.0001)、筋痛が48%、9.5%(p=0.0001)、口内炎が48%、16.7%(p=0.003)だった。

 なおグレード3/4の非血液毒性は、浮腫がTC療法群で2%、rTC療法群が0%、皮疹がそれぞれ10%、4.8%、末梢神経障害は10%、2.4%、筋痛が2%、0%であった。グレード3/4の血液毒性は白血球減少がTC療法群は96%、rTC療法は66.7%、好中球減少は90%、85%、貧血が2%、0%だった。発熱性好中球減少は12%、9.5%だった。

 花岡氏は、「ドセタキセルとシクロホスファミドの投与順序を変えたrTC療法では、従来のTC療法と比較して、特に非血液毒性が軽減される」と述べた。またrTC療法でアレルギー反応が減少したことから、免疫抑制剤でもあるシクロホスファミドの免疫抑制効果によって、ドセタキセルの毒性が減弱されたためではないかとしている。