40歳代のマンモグラフィ検診は他の年代よりも偽陽性率は高いが、罹患率を考慮すると、不利益よりも利益が上回る可能性が高いことが、宮城県対がん協会のマンモグラフィ受診者のデータを解析して明らかになった。東北大学腫瘍外科の河合賢朗氏らが、9月2日から仙台市で開催された第19回日本乳癌学会学術総会で発表した。

 2009年11月、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、40歳以上の女性に対するマンモグラフィを用いた定期的な検診に関し、推奨グレードをBからCに変更した。マンモグラフィ検診による乳癌死亡率減少効果という利益は40歳代と50歳代で同等だが、偽陽性などの不利益が40歳代では高いと考えられたためだ。これを受け、国内でも40歳代のマンモグラフィ検診の利益と不利益について議論がなされている。

 しかし米国では乳癌罹患率が40歳から50歳代よりも60歳以上で高いが、日本では40歳から50歳代のほうが高い。そこで河合氏らは、宮城県対がん協会における2000年から2009年のマンモグラフィ受診者27万8182人(40歳から69歳は24万3042人)を対象に、検診の利益と不利益を検討するため、不利益となる偽陽性率と追加画像診断(超音波やMRI等)率、生検率を、検診者1000人に対する比率として算出した。

 その結果、40歳から49歳(40歳代)における偽陽性率は1000人あたり129.8人、追加画像診断率は95.9人、生検率は8.9人だった。これに対し、50歳から59歳(50歳代)では偽陽性率は97.3人、追加画像診断率は64.4人、生検率は4.3人、60歳から69歳(60歳代)では偽陽性率は77.5人、追加画像診断率は49.6人、生検率は3.5人であり、40歳代では他の年代に比べていずれも高かった。なお浸潤癌(IDC)の発見率は40歳代で2.5人、50歳代は2.2人、60歳代は2.3人だった。

 次に、罹患率を考慮するため、1人の浸潤癌を発見するのに必要なマンモグラフィの数を算出すると、40歳代では394で、これは50歳代の461、60歳代の439よりも少なかった。また1人の浸潤癌を発見するのに必要な追加画像診断の数は40歳代では33で、50歳代の35、60歳の31とほぼ同じ。生検の数は40歳では3.7で、50歳代の5.0、60歳代の5.1より少なかった。

 またUSPSTFの報告にある米国Breast Cancer Surveillance Consortium (BCSC)のデータと比較すると、40歳代で、生検を要する偽陽性がBCSCでは1000人あたり60〜200人であるのに対し、宮城県のデータでは1000人あたり41.5人と低く、日本での検診による不利益は米国よりも少なかった。

 さらに国内では近年、外科的生検の割合は大きく低下し、針生検に移行していること、癌発見率も高いことから、「罹患分布を考慮に入れても、若年者マンモグラフィ検診は利益が上回る可能性が高い」と述べた。