乳癌術前化学療法(NAC)の病理学的完全奏効(pCR)に対する効果予測因子の検討から、Ki67高発現がNACの効果予測因子の1つとして有用である可能性が示された。また、年齢、HER2高発現も効果予測因子となると考えられた。9月2日から仙台市で開催されている第19回日本乳癌学会学術総会で、社会医療法人博愛会相良病院乳腺外科の四元大輔氏が発表した。

 Ki67は細胞増殖能を反映することから薬物療法の効果予測因子として注目されている。また、海外ではNAC後のKi67高発現(10%以上と定義)は予後不良との報告がある。

 四元氏らは、NAC後のpCRに対する効果予測因子、ならびにNAC後のKi67高発現(10%以上)に関連する因子について検討した。

 対象は、2008年2月から2010年10月までに、NAC後に手術を行った96人(平均51.6歳)、99症例。閉経前の患者が61%を占めた。乳房温存術は44.4%、乳房全摘術は55.6%に施行された。

 検討因子は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2、Ki67、年齢、閉経状況、核異型度とした。pCRは乳房での癌の浸潤巣の消失とし、pCR時のKi67は0%であることとした。

 レジメンは、アントラサイクリン系薬剤とタキサン系薬剤を順次投与したのが58人、アントラサイクリン系薬剤からタキサン系薬剤+トラスツズマブを順次投与したのが21人、タキサン系薬剤+トラスツズマブを投与したのが11人、その他が6人だった。

 ER(+)は46.4%、(−)は50.5%、PgR(+)は31.3%、(−)は65.6%、HER2(+)は37.4%、(−)は58.6%だった(不明例あり)。Ki67の中央値は46.5%(範囲:2.8〜90.7%)だった。核異型度は3が43.4%だった。

 解析の結果、pCRは29症例(29.3%)となった。サブタイプ別にみると、HER2 タイプでは52.2%となり、Luminal Aの6.3%と比べて有意にpCR率が高かった(p=0.001)。

 non-pCR群(70症例)とpCR群を比較すると、pCR群で年齢が高く、ER(−)、PgR(−)、HER2(+)の患者が占める割合が高く、Ki67が高値だった。

 pCRの予測因子として、オッズ比は、ER(−/+)が4.83、PgR(−/+)が5.46、HER2(+/−)が3.25、Ki67(40%以上/40%以下)が4.21、核異型度(3/2、1)が2.35となった。Ki67のカットオフ値は、同院では自動免疫染色装置を導入する以前に20%、40%で設定し、40%以上を高値としていたことによる。

 pCRに対する単変量解析では、年齢(p=0.037)、ER(p=0.003)、PgR(p=0.010)、HER2(p=0.012)、Ki67(p=0.011)で、多変量解析では、年齢(p=0.04)、HER2(p=0.025)、Ki67(p=0.032)のみが有意な効果予測因子として見いだされた。

 また、NAC後Ki67高発現(10%以上)例は34症例(36.2%)だった。NAC後Ki67高発現に関連するのは、単変量解析では、年齢(p=0.002)と閉経(p=0.029)で、多変量解析では年齢(p=0.014)のみで有意となり、若いほどNAC後Ki67高発現例が多いという結果だった。