内分泌感受性HER2陽性乳癌はホルモン療法・抗癌剤・トラスツズマブのすべてが適応となるが、早期乳癌に、ホルモン療法だけでなく、抗癌剤とトラスツズマブを投与すべきかについては意見が分かれている。

 静岡県立静岡がんセンター乳腺外科の荻谷朗子氏は、日本人の内分泌感受性HER2陽性の早期浸潤性乳癌(ステージ?・triple positive)はホルモン療法単独で再発を抑制できる可能性が示唆されることを発表した。6月24、25日に札幌市で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で報告した。

 対象は、2002年9月から2006年12月までに、同院で手術が施行されたステージ?の原発性浸潤性乳癌234例(重複癌、両側乳癌、HER2状況不明を除外)。ホルモン受容体(HR)とHER2の免疫染色結果から4グループ(HR+HER2−、HR+HER2+、HR−HER2+、HR−HER2−)に分類し、triple positiveの無再発生存率を検討した。

 免疫染色陽性の判定基準は、ERとPgRは陽性細胞占有率10%以上、HER2陽性細胞占有率10%以上の症例で染色性を0〜3+の4段階にスコア化し、3+もしくは2+でFISH増幅ありの症例を陽性と判定した。

 グループの分布は、HR+HER2−は79%(n=185)、HR−HER2−は9%(n=21)、HR−HER2+は6%(n=15)、HR+HER2+は6%(n=13)だった。ステージ?・triple positive(HR+HER2+)の13例の術後補助療法の内容はホルモン療法単独(n=12)、抗癌剤+ホルモン療法単独だった(n=1)。

 ホルモン療法単独(n=12)の患者について調べたところ、年齢中央値51(41〜65)歳、閉経状況は閉経前6人、閉経後6人だった。組織学的グレード1は0人、組織学的グレード2は4人、組織学的グレード3は8人だった。腫瘍径0.5cm以下は2人、0.5〜1.0cmは2人、1.0〜2.0cmは8人。脈管侵襲は全員なかった。

 ステージ?・triple positiveのホルモン療法単独の生存曲線を見たところ、観察期間60カ月の間に再発は一例も認められなかった。

 これらの結果から、荻谷氏は、日本人のステージ?・triple positiveの乳癌はホルモン療法単独で再発を抑制できる可能性があるのではないかとの考えを述べた。

 荻谷氏は「今回は症例数が12人と少ないため、結論は出せないが、早期乳癌へのトラスツズマブの投与にしっかりしたエビデンスが求められているのではないか。乳癌の予後には民族差もあることから、今後も引き続き、日本人のデータを集めて解析する必要がある」と述べた。