照射を併用して乳房温存療法を行い、10年以上経過した1715人の成績を検討した結果、断端陽性と若年齢が局所制御不良因子であることが示された。またT4型乳房内再発の予後は特に不良で、乳房内再発に対する再部分切除は局所制御不良であることもわかった。6月24、25日に札幌市で開催された第18回日本乳癌学会学術総会で、大船中央病院乳腺センター外科の大渕徹氏が発表した。

 同院では、1983年1月から1999年11月までに受診したステージI、II、IIIの乳癌患者1921人中1756人(91.4%)に乳房温存療法を施行している。

 乳房温存療法は、乳房と腫瘍と腫瘍径の相対的関係のみに注目し、美容的結果に患者が満足すれば全て適応とした。腫瘍は肉眼的な断端陰性を得るよう必要十分量の乳腺を切除し、多くは1〜1.5cmのマージンを要した。1993年以降はScratch Cytologyを施行している。病理標本断端に癌細胞が露出した場合のみを断端陽性と判定した。術後照射は全乳房に50Gy(Boost照射なし)とした。

 大渕氏らは、乳房温存療法から10年以上経過した1715人(平均年齢48歳)の再発と死亡について検討、報告した。観察期間の中央値は124カ月だった。

 対象の内訳として、ステージIは497人(29%)、IIAは784人(46%)、IIBは321人(19%)、IIIAは81人(5%)、IIIBは22人(1.3%)、IIICは10人(0.6%)。閉経前の患者は69%、断端陽性は34%、エストロゲン受容体陽性は52%であった。

 5年生存率は、ステージIが96%、IIが91%、IIIが65%で、10年生存率はそれぞれ92%、82%、48%だった。

 5年の遠隔無再発生存率は、ステージIが94%、IIが84%、IIIが52%で、10年の遠隔無再発生存率はそれぞれ90%、75%、42%だった。

 乳房内再発率(観察期間中央値96カ月)は5年累積で5.6%、10年累積で12.1%。

 乳房内再発のリスク因子として、多変量解析では、年齢、閉経の状態、ステージ、断端の状態、Scratch Cytologyがあがった。

 10年乳房内再発率をみると、初発時の年齢が40歳以上では8.7%、40歳未満では29%で、若年齢で有意に高かった(p<0.0001)。ステージIでは12%、IIは11%、IIIは25%であった。病理断端陰性では7.3%、陽性では21%であった(p<0.0001)。断端のScratch Cytologyが陰性では9.8%、陽性では24%だった(p<0.0001)。

 遠隔転移の先行を除いた乳房内再発後の5年生存率はT4型で特に不良であり、T4Dで27%、T4Bで20%だった。

 乳房内再発を認めた196人中、143人がサルベージ手術の対象となり、89人に再部分切除、54人に乳房切除術が行われた。サルベージ手術後(観察期間中央値43.4カ月)の局所再々発は、再部分切除を行った患者では36人、乳房切除術を行った患者では5人に認められた。5年再々発率は再部分切除では43%、乳房切除術では8%であった(p<0.0001)。

 今回の結果から大渕氏は、「断端陽性例では陽性の程度により再切除またはBoost照射を考慮する必要があり、若年齢の断端近接例ではBoost照射を勧めたい。照射併用後の乳房内再発に対しては、乳房切除を考慮すべき」と話した。